農政・農協ニュース

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多様なニーズに対応し、機能強化を図る必要が  「卸売市場の将来方向に関する研究会」が報告を取りまとめ

 次期卸売市場整備方針の策定に向けて、昨年10月から卸売市場に期待される役割と将来方向、施策のあり方などについて総合的に検討してきた「卸売市場の将来方向に関する研究会」(座長:根本重之拓殖大学教授)は、3月26日に開催された第12回研究会で、これまでの検討をもとに報告を取りまとめた。

◆基本的な流通ルートとして不可欠だが更なる機能強化を

 この「報告」では、今後の卸売市場の基本的な方向として、
1)卸売市場の役割は、生鮮食料品等の流通の基幹的インフラとして、食料を円滑かつ安定的に供給するという公的なもの。出荷者は安定的な販路として、需要者は安定的な調達先として大きな期待を有しており、基幹的な流通ルートとして、今後とも健全に発展し、その機能を発揮していくことが不可欠。
2)このため、卸売市場をめぐる情勢や川上・川下ニーズの変化等に的確に対応して、市場機能の円滑な発揮と更なる機能強化及びそれを支える市場全体としての経営戦略的視点からの運営体制の整備、卸売市場の再編、卸売業者及び仲卸業者の経営体質の強化等を推進することが重要、とした。

◆多様化するニーズへの対応などの方向示す

 今後の具体的な方向としては、コールドチェーンシステムの確立、加工・調製や保管・配送機能の強化、情報受発信機能の強化、安定的な取引の確保など「多様化する出荷者、需要者のニーズへの適切な対応」をまずあげた。
 そして、商物一致規制の見直し、受託拒否禁止の正当な理由の範囲の明確化、事業者の負担軽減、事務手続の簡素化等「高生活効率的な取引の確保」をはかることが必要とした。
 さらに、食の安全への対応やコンプライアンスの推進、環境問題への対応など「社会的な要請への適切な対応」をし、社会的信頼を確保していくことが必要であること。
 また、効率的な物流ネットワークを構築する観点から、市場間の機能・役割分担の明確化を図るとともに引き続いて「卸売市場の再編の推進」することが必要だとした。
 そのほか、「卸売業者及び仲卸業者の経営体質の強化」や「経営戦略的視点を持った市場運営の確保」も必要だとしている。
 この報告を踏まえ、農水省では23年度からの第9次卸売市場整備基本方針の検討に入るが、10月を目途に策定・公表する予定だという。

(2010.03.30)