農政・農協ニュース

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宮崎県の口蹄疫発生続く

 4月20日に宮崎県で1例目の発生が確認された口蹄疫は、その後も発生が続き5月5日までに23例の疑似患畜が確認されている。殺処分対象の家畜頭数は3万3000頭を超えた。現地では深刻な事態となっているが、ウイルス拡散を防ぐための消毒の徹底など地域ぐるみの取り組みが続けられている。

◆迅速な防疫措置の徹底

 今回の口蹄疫は当初は牛のみの感染だったが、4月28日に豚での感染が確認され豚での発生が続いている。
 23例目までをまとめめると、殺処分対象となったのは豚3万1068頭、牛2915頭で合計3万3983頭にのぼっている。発生農場のうちこれまでの最大規模は1万5747頭を飼養している養豚農家。
 発生農場はこれまでのところ同県児湯郡都農町、川南町地域と山間部で県境に近いえびの市(9例目の肉用牛経営、22例目の養豚経営)に限られており、それぞれ半径10kmの移動制限区域内の概ね3km以内におさまっている。
 感染確認後には、殺処分と消毒などが実施されており、農林水産省によるとこれまでに1〜7例目、9〜11例目、13、16、22例目の農場ではすでに防疫措置が終了している。
 5月6日には牛豚等疾病小委員会(第12回)が開かれ、今後の防疫対応などが検討された。
nous1005070901.jpg 会議では発生地域が限定されていることかとから、風によるウイルスの広範な拡散は考えにくいとされ、「人や車両等による伝播」が否定できないとして、厳格な消毒や農場への出入り制限の実施と、迅速な殺処分、埋却等を実施すべきとされた。
 発生以来、他県からの支援も含め1000人規模で防疫措置が行われているほか、宮崎県からの要請で5月1日からは自衛隊も100人規模で支援している。
 小委員会の田原健委員長は「発生農場を中心に地域全体を一農場と考えて一斉に消毒や出入り制限などを徹底することが大事」と強調した。また、今回は10年前の発生事例とくらべて症状が強いことから「生産者の方も不安は大きいと思うが、初期段階で発見しやすいということ。早く見つけて早く叩くことが一番大事で(飼養家畜に)おかしいと思うときは直ちに連絡を」と話した。
 今回分離されたウイルスはO型であることが判明しているが、ウイルス遺伝子を(独)動物衛生研究所と英国の国家家畜衛生研究所が分析したところ、2010年に韓国や香港で分離されたウイルスと近縁であることが判明している。
 同日の記者会見で山田副大臣は制限区域内でさらに消毒等に総力をあげるなど、現在の防疫措置を徹底させれば、口蹄疫を封じ込めることができるとの認識を示した。

(2010.05.07)