農政・農協ニュース

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21年度は10件のチャレンジ事業を支援  政策公庫の資本的劣後ローン実績

 日本政策金融公庫の農林水産事業は21年2月から農林漁業者向けに資本的劣後ローンの取り扱いを始めたが、その結果を6月1日とりまとめた。

 このローンは、資金調達がネックになりがちな農林漁業者によるチャレンジ性の高い新規事業を政策金融面から支援するもの。
 21年度融資実績の中では、農業法人の新規事業に10件、6億円を融資した。業種別では畜産5件、野菜3件、その他2件。
 野菜では売上げまで約8年もかかるキュウリの育種開発のための研究施設に融資し、8年間も元金返済の必要がない資本的劣後ローンの特性を十分に発揮した。
 また畜産では都市近郊での臭気対策に優れた養豚モデルに向けて土着微生物の臭気分解作用を活用した先進的な豚舎の増築に活用された。
 このほか菌床シイタケを生産する新設法人が、燃油費とCО2排出量の削減を目指して、使用済みの菌床を燃料とするボイラーの導入事業(全国で2番目)にも利用された。
 この融資制度は期間18年で当初8年間は元本返済がなく担保・保証は不要。また貸付利率は毎年の決算状況、端的には事業の成功度合いに応じて3段階(最低は0.4%)に分かれる。融資限度額は負担額の80%、または1億円のいずれか低い額となっている。
 返済が困難になった場合、償還順位が他の債務に劣後するなど出資に近いのが特徴で、金融検査上、その1部を自己資本とみなすことができる。
 公庫では22年度も引き続き新規性、チャレンジ性のある様々な事業を支援していく。

(2010.06.03)