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口蹄疫で飼料用米生産に特例措置  農水省

 口蹄疫発生によって家畜が大量に殺処分され、畜産農家への飼料作物供給が困難になっていることを受けて、農水省は6月15日、水田利活用自給力向上事業に特例措置を設けることを決めた。

 殺処分で家畜を失った宮崎県の川南地区などでは、まだ終息のめどもなく畜産農家の経営再開の見通しも立たない。
 一方、今年度からスタートした戸別所得補償モデル対策のうち水田利活用自給力向上事業では、飼料用米、WCS(ホールクロップサイレージ)用稲などに10aあたり8万円が交付されるが、需要先の確保が交付要件になっていることから、宮崎県では生産者が飼料用米などを作付けても畜産が壊滅的となり需要先がなくなるという事態も生じている。
 このため農水省では、宮崎県と連携し、牛用にWCS用稲として作付けて供給しようとしていた生産者に養鶏農家向けに飼料用米として供給できるよう需要先情報の提供などマッチング活動を推進することとした。
 この取り組みによって需要先が確保できた場合は10a8万円の助成対象となる。ただし、飼料用米を籾で給与する場合は、出穂期以降に農薬を使用しないよう農水省は呼びかけている。
 同時に、こうしたマッチングの努力によっても需要先が確保できずWCS稲や飼料用米の生産を中止する場合も10aあたり3万5000円を交付する特例措置も決めた。
 ただ、すでに作付けしている場合に特例措置を受けるには、収穫期までにすき込みを行い、確実な横流れ防止措置を行うことが求められる。また、畜産農家への供給を予定していたが中止せざるを得なくなった場合は、口蹄疫発生で殺処分を行った畜産農家を需要先としていたことや営農準備をしていたことが書類等で確認できることも必要になる。
 なお、口蹄疫発生にともなって宮崎県、鹿児島県、熊本県、大分県ではモデル対策の加入申請期限(6月末)を当分の間、延長することを決めている。

(2010.06.17)