農政・農協ニュース

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農業者大学校、存続を―教育応援団が緊急アピール

 行政刷新会議の事業仕分けで、農業者大学校について廃止と判定されたが、「時代の要請に逆行し将来に重大な禍根を残す」として、同校での教育に関わってきた外部有識者らの農業者大学校教育応援団有志一同(代表:今村奈良臣東大名誉教授)が6月18日、存続させるべきとの緊急アピールを発表した。

左から今村奈良臣 東大名誉教授・野中和雄 中山間フォーラム副会長 緊急アピールでは、(1)価格政策から所得政策への流れのなかで農業者の能力や戦略によって所得、収益に大きな差が生じる状況になってきたこと、(2)6次産業化を担うには加工、流通、バイオマス、IT利用など幅広い知識、情報を活用する能力が求められること、(3)改正農地法にともない企業とも競争しうる農業経営を育成する必要があることなどをふまえると、「いわゆる担い手の育成にとどまらず、わが国・地域の農業・農村のリーダーとなり得る『先導的な農業経営者』を育成することが急務になっている」と強調している。
 また、事業仕分けでは都道府県の農業大学校との役割重複との指摘もあったが、筑波の各種研究機関とも連携している同校は、教育の性格や水準において一線を画すものだとして、「新たな農政展開の核心としてわが国農業農村の発展に不可欠」と存続・充実を強く訴えている。
 今村東大名誉教授は「政策には近未来の展望が必要。将来の農業者をどう育てるかビジョンが大事だ。とくに日本農業にとっては、地域全体をマネージする農業経営者が求められる」と指摘、野中和雄・中山間フォーラム副会長は「農業だけなぜ短大があればいいという話になるのか。一般経済でもMBA取得など高度な教育を進めている。事業仕分けは農業経営者を育成する戦略論の視点が欠けているのではないか」と強調した。

(写真)左から今村奈良臣 東大名誉教授・野中和雄 中山間フォーラム副会長

(2010.06.21)