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納入業者の負担は重い 大規模小売店が協賛金など要請  食品産業センターが取引慣行実態を調査

 (財)食品産業センターは平成21年度「食品産業における取引慣行の実態調査報告書」を6月16日発表した。

 食品加工業者や納入業者に対して大規模小売店がバイイングパワーを利用した不当な要求をしている事例が後を絶たないが、小さな業者がそうした実態を告発するのは難しいとして食品産業センターは平成7年からほぼ毎年、調査を実施。
 その結果の公表によって大企業による優越的地位の乱用に対応しており、今年も2〜3月に食品製造業約1600社を対象にアンケート調査を実施し、324社から有効回答を得た。
 量販店などは自社専用の物流センターに商品を納入させてメーカーや卸会社から手数料(センターフィー)を取っているが、その算出基準が不明確だという流通の歪みにも切り込んでいる。
 この問題を含め調査項目は協賛金従業員派遣など7点。調査結果は全体として取引慣行の改善が進んでいるとはいえない状況にあるという結論となった。項目別の概要は次の通り。
 【協賛金】
 製造者の4割強は大規模小売店から協賛金を要求されたと回答しており、その数は前回調査に比べ微減にとどまった。業態別では食品スーパーからの要求が6割近くで最も多く、最も少なかったのはコンビニだった。
 名目はチラシ協賛新規(改装)オープン協賛新製品導入協力協賛、さらには「決算対策の協賛金」など色とりどり。
 要求に応じているとの回答は5割を上回り、食品スーパーの場合、小規模製造者ほど「応じざるを得ない」との傾向が見られる。
 公正取引委員会は合理的でない協賛金は禁止行為に該当する(大規模小売業告示)としており、調査報告書は「該当する事例が相当数あるのではないか」としている。
 【センターフィー】
 大型総合スーパー、ディスカウントストア、食品スーパーでは「センターフィーを負担している」との回答が7割を超え、とくにディスカウントストアでは前回調査に比べ大幅に増加した。
 これの負担は増えこそすれ、減る傾向が見えないという状況が続いている。
 また要請されている製造者の4分の3以上はその金額の算出基準、根拠が明らかでないと回答している。
 「明らかにされている」との回答の中でもその多くは「売上げの○%」といった合理的とはいえない内容だ。
 具体的事例では「センターフィーは一般的な配送コストより割高で、その相場が年々上がっている」「値上げは納得できないといって取引中止になった」など納入者の立場の弱さを物語るものなどがあった。
 【従業者派遣】
 小売店舗の新規・改装オープン時に商品などの陳列補充作業を要請されるという回答が6割強と多い。あとは店舗清掃など。
 派遣しても日当や交通費が「全く支給されなかった」との回答が「その他」の小売業と百貨店では7割を超えている。
 具体的には「強引に要請されて深夜から明け方まで拘束されることもある。日当などの請求書が配られるが、実際には請求できない雰囲気になっている。応援を断ると商品のカットをいわれている」といった事例がある。

取引慣行に関する小売側の改善推移

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 調査報告書はさらに不当な値引き・特売商品の買いたたきなど過度の情報開示の要求大規模小売業告示の認知などの実態をまとめている。
 問い合わせ先は食品産業センター企画調査部TEL03(3224)2379

(2010.06.24)