農政・農協ニュース

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JA介護保険事業を地域づくりの視点で  JA全中

 JA全中はこのほど「JA介護保険事業の取り組み経過と課題」を整理。制度発足10年を迎えた介護保険事業に今後、JAはどう対応すべきかをまとめている。

 介護保険制度が始まったのは平成12年。JAグループとしても介護保険事業に取り組み、20年度現在で344JA1084事業所で展開されている。収益総額は231億円となり、事業開始当初の3倍となった。
 JAでの主な取り組み事業は(1)訪問介護事業(訪問ヘルパー)、(2)通所介護事業(デイサービス)、(3)居宅介護支援事業(ケアーマネージャーによるプラン作成事業)、(4)福祉用具貸与事業で、21年4月現在でJAの介護保険事業の実施率は44.2%となっている。
 経営収支は、制度発足から過去2回の介護報酬引き下げ改定があったため(平成15年▲2.3%、18年▲2.4%)厳しい状況だ。20年度の収支を調査できた300JAでは、赤字が151JA、黒字が149JAと二極化の傾向がみられる。
 ただ、21年度の介護報酬改定では+3.0%の平均改定率となったことから、JA全中では改善傾向にあると予想。介護保険事業は「赤字」という間違った固定観念を払拭し、「むしろ合理的なマネジメントがなされれば必ず黒字になる事業」(JA全中)との認識をもって、JAは収支改善の取り組みを進めるべきだとしている。
 そのための大きな課題のひとつがマネジメント体制の確立と人材育成によるサービスの質向上と指摘。職位別、職責別などの研修体系の確立、研修資材の開発、研修指導者の育成・確保などが急務だとし、質の高いサービス提供のため研修体系の整備をめざすとしている。介護職員の処遇改善、能力評価制度の確立・定着化なども課題として挙げた。

◆地域住民との信頼関係を

 そのほか、訪問介護、通所介護、居宅介護支援、福祉用具貸与の4事業の総合展開と、市場規模に応じたJA管内での複数事業所配置の検討を促進、未設置エリアの解消もめざす。
 国の政策として「地域包括ケアシステム」構築が強化されることをふまえ、「JA介護保険事業は地域づくり」との認識で、認知症サポーターの養成などを支援し、地域住民との協力関係をつくることや、介護保険事業を「地域に向けたJAの広報機能をあわせ持つ事業」として助け合いのネットワークを創造することも必要だと指摘している。

(2010.07.20)