農政・農協ニュース

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取扱高4兆7647億円など21年度事業報告を承認 JA全農総代会

 JA全農は、7月29日、東京で第34回通常総代会を開催し、平成21年度事業報告および剰余金処分案を承認した。また、全議案の採決終了後、羽田副会長が宮崎県の口蹄疫問題で、全国のJA組合員に迷惑をかけたことを詫びるとともに、寄せられた激励や支援に対してお礼の言葉を述べ、1日も早い再建に向けて取り組んでいく決意を述べた。

JA全農 第34回通常総代会 21年度の全農の取扱高は、21年産米の販売が低調であったことやデフレなどの影響で国産農畜産物価格が低迷したこと、肥料の値下がりや需要の減少で生産資材事業が計画を下回ったことなどから、計画比92%の4兆7647億円(前年度比92%)だった。
 事業別では、米穀事業が7294億円(計画比83%、前年比93%)、園芸農産事業が1兆1452億円(同91%、96%)、畜産事業が1兆581億円(同92%、88%)、営農・生産資材事業が8834億円(同92%、95%)、生活関連事業が9487億円(同105%、88%)となっている。
 事業総利益は、取扱高の減少や配合飼料価格安定基金(異常基金)への緊急拠出が発生したことによって、計画比91%の9385億円となった。一方、事業管理費は人件費・業務費・施設費などの経費を節減し、計画より75億8500万円削減し1兆31億9200万円となった。その結果事業利益は△93億3700万円となった。
 経常利益は、財務損益や受取配当金の増加もあり25億2200万円(計画12億円)と計画を上回った。これに特別損益を加えた税引後の当期剰余金は、計画の20億円に対して54億4700万円と計画を上回る実績となった。
 その結果、2%の出資配当を計画通り実施する。また新たな任意積立金として予定されていた「農薬開発積立金」については11億円が積み立てられた。
 子会社および関連法人等は、20年度より21社減の合計169社あり、売上高は3兆1853億円、当期純利益は166億5300万円、全農への配当額は26億8000万円(配当率3.4%)となっている。
 なお子会社127社のうち黒字は106社(83.5%)、赤字は21社(16.5%)、前年に比べ当期純利益が増加したのは66社(52%)となっている。

◆三氏が新たに経営管理委員に

 総代会では、経営管理委員の伊澤茂氏、三嶋章生氏、篠岡守氏の退任に伴う役員選挙を行い、【高】橋一夫氏(栃木県)、萬代宣雄氏(島根県)、平山功氏(徳島県)の3氏を経営管理委員に選出した(任期は来年の通常総代会まで)

◆食品表示専任役員・担当部署を設置

 総代会では、6月18日に「法令違反(特に表示違反)再発防止態勢の確立」を旨とする「業務改善命令」(8回目)に対する「改善計画」(7月20日農水省に提出)についても報告された。
 それによると、8月1日付で専任担当役員(理事)および専任部署(食品品質・表示管理部)を設置し、米穀・園芸・畜産部門から要員を配置し、対象部署・会社の一斉巡回を9月から実施し、概ね2年(1年で仕上げ、1年で確認)で集中的に成果をあげることとしている。さらに、その成果などを参考に実効性のあがる一斉事業点検や食品表示の日常点検の方法への見直しを行うとした。
 また経営管理委員会会長の諮問機関として「外部の有識者で構成する検証委員会」を設置し、品質・表示管理専任役員・部署による食品取扱拠点に対する取り組みの検証などを行うことにしている。
 なお、総代会後の経営管理委員会で、専任担当役員として、牧口正則氏(総合企画部長)が常務理事に選任された。

 

※高橋一夫氏の「高」の字は正式には旧字体です。

(2010.07.30)