農政・農協ニュース

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厳しい事業環境下 堅実な決算  JA共済連総代会

 JA共済連は、7月30日、東京で第34回通常総代会を開催し、平成21年度事業報告および剰余金処分案などを承認した。事業環境が厳しいなか経常利益が前年度を上回るなど堅実な決算となった。また12年4月のJA共済連全国一斉統合から10年経過したことを記念して、出資配当と事業分量配当を前年度より20億円増の71億円とした。

第34回JA共済連通常総代会 21年度の生命共済の新契約高は、景気回復が本格化せずデフレ下の厳しい環境のなかで、「積立型終身共済」が好調だったことや引き続き一時払生存型養老生命共済「たくわエール」が好調だったことから、推進保障金額ベースで17兆4514億円と目標に対して102.8%(前年度対比94.7%)と目標を達成した。
 また、生存保障ニーズの高まりから医療系共済(医療・がん・定期医療共済の合計)の新契約件数は、30万8000件(前年比114.6%)と前年を大きく上回った。
 建物更生共済は前年度を下回ったが、契約者からの受入共済掛金は長期共済(新契約高)ベースで、2兆4204億円(前年比107.4%)と前年度の水準を上回った。
あいさつする安田舜一郎経営管理委員会会長 また、生命共済・建物更生共済合計の保有契約高(保障共済金額)は、前年度末から9兆8595億円減の320兆3216億円となった。なお解約・失効率は3.86%(前年度3.76%)となっている。
 共済金の支払金額は、事故共済金が9028億円(前年比100.2%)、満期共済金が2兆8432億円(同88.4%)、合計で3兆7460億円(同91%)となっている。満期共済金については、今後も2兆円から2兆5000億円程度で推移する見通しだ。
 21年度の事業収支は、保有契約高の減少により、費差収支および危険差収支が減少したが、株式相場の上昇などによる資金運用環境の改善で利差収支が大幅に改善し、基礎利益が前年度より322億円増の4758億円となった。
 資金運用面では、運用環境が改善したことから、正味財産運用益は前年度より3483億円増の7693億円(前年比182.7%)となった。
 こうした状況を受けて、経営の健全性の維持と強固な経営基盤の確立をはかるために必要な準備金を積み立てるとともに、契約者への割戻金を増額(203億円増の1036億円)した。
 財務状況については、総資産は前年度末より1兆4528億円増の44兆6632億円。そのうち運用資産は一時払契約の伸展に伴う運用資金の増加や有価証券などの評価差額が増加したことなどから、前年度末より1兆4410億円増の42兆7172億円となった。
 収支状況では、経常収益が、受入共済掛金の増加で、前年度より847億円増の6兆5834億円、経常費用が支払共済金、財産運用費用の減少で、前年度より828億円減の6兆3445億円となり、この結果、経常利益は前年度より1676億円増の2389億円(前年比335%)となった。
 このほかの主な経営指標では、支払余力(ソルベンシー・マージン)比率は、前年度より92.3ポイント増加して、952.7%となった。また実質准総資産額も前年度より6393億円増加して、7兆6332億円となり、総資産に占める割合は17.1%と前年度より0.9ポイントの増加となった。
 こうした堅実な決算内容から出資配当金は、出資配当率は前年度と同じ年1.70%として実施。事業分量配当金は各共済部門の当期剰余金の割合に割り当て各JAに配当されるが、JA共済統合10周年の記念配当を実施することから、出資配当金と事業分量配当金を合わせた会員配当金の総額は、前年より20億円増の71億円となる。

(写真)あいさつする安田舜一郎経営管理委員会会長


◆副会長に中村益夫氏、理事長に横井義則氏が

 総代会では、退任する花元克巳(副会長)氏と安田壽男氏の後任の経営管理委員に今田正夫JAさがえ西村山会長理事と嶋田一義JA福岡みやこ会長理事を選任した。
 総代会後の経営管理委員会で、花元氏の後任の副会長に中村益夫氏(JA兵庫西組合長)を選任。
 また代表理事長に横井義則氏(前・代表理事専務)を選任、小野理文(中央コンピュータシステム社長)、中山喜久雄(静岡県本部長)、柳井二三夫(人事部長)の3氏を理事に選任した。なお、今尾和實前理事長は相談役となった。
 その後の理事会で、小野理文氏が代表理事専務に選任された。

(2010.08.02)