農政・農協ニュース

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【新中央会会長に聞く】地域の人に利用してもらえる農協に  佐藤洋氏(JA大分中央会)

 全国のJAグループ県中央会は6月から7月にかけて総会を開き、再任を除くと今年は7県で中央会の新会長が誕生した(既報)。7名の新会長に、▽県下の農業・農村・JAの現状と課題、▽県JAグループのトップとして特に力を入れたいこと、についてインタビューを行った。
 JAは弱者である農家組合員の生活を守るための組織だ。中央会はその指導機関としての原点に立ち返って組織運動を展開すべきだ。具体的には地域社会と環境の保全、消費者への安全安心な農産物の提供、元気な農業を基礎としたJA経営の改革、などに取り組まなければいけない・・・

佐藤 洋 氏佐藤 洋 氏
JA大分中央会会長

 JAは弱者である農家組合員の生活を守るための組織だ。中央会はその指導機関としての原点に立ち返って組織運動を展開すべきだ。具体的には地域社会と環境の保全、消費者への安全安心な農産物の提供、元気な農業を基礎としたJA経営の改革、などに取り組まなければいけない。特に力を入れたいのは、農業者所得の向上と福祉事業などを通じた農協事業の利用拡大だ。
 平成20年度は1339億円だった県内の農業産出額を今年度は1400億円にする運動をやっている。
 デフレの影響などで農産物価格の下落が続いているが、仕入れの一元化や直販システムの整備などを進めて、計画を実現したい。直販はほとんどのJAで取り組んでいるが、常設店舗が少ないなどの課題を克服したい。


◆農家も企業も共存共栄

 荒廃地対策として県は企業参入を誘致しているが、これはなかなかうまくいかない。だからこそJAが中核になって商工業などにのりこんでいき、きちんと大分県の産業に根を張ってJAを利用しながら、地場でつくったものは地元に出すなど、農家も企業も共存共栄できるような仕組みづくりを中央会がやらなくてはいけない。
 JAは農家組合員がつくったものだ。過去にはJA経営のため減資までして合併した経緯もあるが、やはりそういった経営の仕方ではいけない。JAを健全経営して、組合員が安心して暮らせるためのサービスの向上はどうするべきか。


◆地域との連携を深めて

 特に力を入れたいのは福祉事業だ。これまで苦労してきた組合員へのお返しという意味でも、採算抜きというわけにはいかないが、利益を追求するのではなく、とにかく利用してもらえるような福祉事業にしたい。
 一時期、JAが地域から離れてしまった時期もあったが、やはり地域との連携を深めないとJAに将来はない、というのは誰もが感じていることだろう。
 今、JAに対する信頼が欠けているからこそ、地域に根ざした活動を大事にして、農協をたくさん利用してもらうことで経営基盤を強化してサービスを高めていきたい。
 信頼を得ていけば、組合員も地域住民も利用する農協になるだろう。
 真面目で飾りっ気がなく「質実剛健」、というのが私のなりたい人間像だ。
 農協の事業は飾りっ気がない、というか本音で話さないとできないものだ。すばやい決断力で中央会がリーダーシップを発揮し、それぞれの連合会の課題を解決していけばいいJAになると思う。県内でJAグループ一丸となって目標に向かって取り組めるようにしていきたい。


【Profile】さとう・ひろし
 昭和18年生まれ。平成6年JA別府市理事、12年同代表理事組合長、17年大分県信連経営管理委員会会長、全共連大分県本部運営委員会会長、20年大分県厚生連経営管理委員会会長、22年JA大分中央会会長、JA別府市会長理事

(2010.08.19)