農政・農協ニュース

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JAの総合力の"案内人"めざして  「ライフプラン・家計簿」リーダー研修会

 家の光協会はJA全国女性協と連携し、組合員や地域住民に豊かな生活や地域を築くためのライフプランづくりと家計簿記帳を推進している。この活動を広めていくためにリーダーとなる職員を育成しようとJA全中との主催で全国「ライフプラン・家計簿」リーダー研修会を8月30日、都内で開いた。

◆組合員とともに夢を育てる

「ライフプラン・家計簿」リーダー研修会 研修会には全国から中央会職員やJA家の光事業・生活文化活動担当者、女性部員など48人が参加した。
 参加者への事前のアンケートによると「ライフプラン・家計簿」の学習・実践運動に取り組んでいると答えた人は25%で、ほとんどの人が「取り組んでいない」、「取り組んだものの行き詰まっている」と答えた。取り組んでいない理由として「どのように取り組んだらよいのかわからない」、「人が集まらない」、「1度きりで続かない」などの意見があった。
 こういった課題をかかえた参加者に、家の光専門講師の宮本京子氏が家計簿の基本的な記帳練習を実践し、その後、同講師の渡辺広子氏がライフプラン記帳を指導した。講義では“農業収入をアップさせて5年で100万円を貯蓄、ヨーロッパ旅行をめざす”という内容でライフプラン作りをアドバイスした。
 「規格外品や自家用以外に目を向け、それら通常出荷・販売していないものについても数字ではっきり出してもらうこと。農家には収入になる材料がたくさんあるということをわかってもらうことが大切」だとして農家の主婦だからできる農業収入アッププランの記入指導例と収入アップに導く提案方法を伝えた。
 渡辺さんは「自分が農家の主婦だったとしたら、と考えてその立場で描く夢、育てたい夢を必ず持ってもらいたい。組合員農家と一緒に夢を語るには自分も農への夢がなくては語れない」と話した。


 
◆悩み語りアイデアを収集

グループ討論しながら運動の「未来予想図」を構想 研修会の中で行ったグループ討論では各自が抱える悩みや意見を交換し合い、これからどのように運動を広めていくかについて「未来予想図」を構想した。
 あるグループでは若い世代の参加者が少ないという問題に共感が集中し、今まで行ってこなかった同年代同士が交流できるイベントの企画が必要だとして、それには参加してもらいたいターゲット層を引きつけるPR方法を考えなければならないという課題に行き着いた。生の声を聞いたり、ターゲット世代向けの雑誌で志向を研究してはどうか、といったアイデアが出た。
 それぞれが感じている課題を打ち明けることで、メンバーからアイデア意見が飛び出す活発な交流の場となった。

(写真)グループ討論しながら運動の「未来予想図」を構想

 

◆夢の実現でJAの魅力を感じてもらう

JA新ふくしま 組織広報課・菅野房子課長 JA新ふくしま組織広報課の菅野房子課長は「JAファンを作る!あなたであるから出来ること」というテーマで、自らの取り組みについて実践報告を行った。
 平成8年に生活指導員になったときフレッシュミセス部会解散の危機に遭遇した。JAとの関わりに全くメリットを感じてもらえていないことを実感し、担当者になることを自ら申し出て▽JAと接する機会作り、▽活動に自信を持ってもらうこと、▽楽しいライフプランの提案―の3点に努めた。
 農業を学びたくても営農指導の場に行きにくいという女性の声を受けて、専門的な勉強ができるアグリカレッジを平成15年に作った。アグリカレッジの活動がきっかけでフレッシュミセスへの加入が広がり、JAの総合力で活動をカバーしていくことによって受講者にJAの存在をアピールする機会にもなった。
 現在は准組合員加入を受講の条件としてJAとの関係作りを強化している。アグリカレッジをフォローする研究会を発足するなど活動は発展している。


 

私が講師になってがんばります


JAながさき西海・企画部総合企画課 福田恵美さん◇JAながさき西海(長崎県)
企画部総合企画課 課長補佐 福田恵美さん

 今年かねてからの懸案事項だった女性大学を立ち上げた。対象は青年部の若いお嫁さん。立てた年間カリキュラムの中にライフプランや家計簿の推進を取り入れた。講師を招くのは簡単なこと。せっかくなら自分が学んで講師になれば質問もしてもらいやすいと思い、今回の研修会に参加した。
 ライフプランの推進は一度やってみたきりで断ち切れになった経緯がある。女性大学の中で学んでいくことで運動が広がることを望んでいる。
 現在女性大学のメンバーは22人。課題のひとつは活動に対する家族の理解。女性大学は遊びと思われがちだが、勉強したい意欲ある奥さんたちが学べる場であるということをわかってほしい。姑や旦那さんの理解が活性化につながると思う。
 女性大学卒業後も同窓会のような場を作って交流を続けていきたい。それが教育文化活動だと思っている。

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JAたむら・営農経済部生活課 橋本明美さん◇JAたむら(福島県)
営農経済部生活課 橋本明美さん

 
 ライフプランの推進に取り組んで3年目を迎えた。研修会には昨年も参加したが、昨年と一昨年は渡辺広子先生を講師に招いて講義を。でも今年は自分が講師になって12月にセミナーをおこなう予定だ。自ら家計簿を実践してみんなに伝えることができるようにしたいと思っている。
 セミナーは自家菜園栽培暦を作成して年間どれだけ家計の助けにつながっているかを感じてもらう、という内容で実践していきたい。非農家でも環境家計簿をつけるなど節約するものを変えれば実践は可能だと思うので、地域に広く推進していきたい。
 セミナー開催後も活動経過を1カ月ごとに報告させるモデルグループを作って育てていき、女性大学で発表してもらうことによって運動を広めていきたい。

 

(2010.09.06)