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新税導入し新たな農林水産予算税源に―農業団体との意見交換「拒みません」  鹿野道彦新農相が就任会見

 鹿野道彦農林水産大臣は9月17日夜、就任記者会見に臨み、「第一次産業は縮小の道を歩んできたのかという思い。ここで大転換を図らなければならない。攻撃型の農林水産行政に転換していきたい」などと語った。

鹿野道彦新農相が就任会見 鹿野新農相は自民党時代の平成元年8月から翌年2月まで第一次海部内閣で農相を務めた。21年ぶりに再び農相に就任したことになる。鹿野農相は「この間、わが国農業も大きな変化を遂げてしまった。20年前は自給率は49%。それが40%、41%。およそ10%近く下がった。農業所得は半減している」、「第一次産業が縮小の道を歩んできたのかという思い。このへんで大転換を図っていかなければならない。攻撃型の農林水産行政に転換していきたい」と話した。
 米の需給と価格については「下がっている、下がっているということだけが強調されますとまた下がっていくのではないかという不安が増幅してしまう」と指摘し、「少し冷静に見守っていく必要があるのではないか」「作柄の状況をしっかり見守っていく必要がある」として過剰米対策などについては「今の段階で具体的な手を打つようなことは考えていない」と話した。
 会見では菅総理から(1)戸別所得補償の本格実施、(2)EPAの推進、(3)一括交付金の推進、(4)6次産業化、(5)森林・林業再生、(6)口蹄疫対策の6点についての推進の指示があったということも明らかにした。
 このうちEPAの推進については「農林水産省の予算だけではもうぎりぎりの段階。新しい財源が必要だ」と話したほか、新しい財源は「新税という考え」と話し、環境税が導入されるなら農林水産業が環境保全に役割を果たしているとして「新しい財源を頂戴して環境対策に結びつけていく」との考えを表明した。
 ただ、EPAの促進では関税撤廃などは「極端すぎることだと思う」と述べ「それぞれ自国の利益に基づいてそれぞれの考えでやっている。わが国も国益をふまえて取り組んでいく。これが基本」と強調した。
 また、政権交代後、JAグループのトップ層など農業団体首脳と農相との意見交換は公式には行われていないが、鹿野農相は「私はどなたでも意見交換することは拒みません」との考えを示した。同時に現場の声を「自ら聞く」意向を示し今後具体的に検討するという。

(2010.09.21)