農政・農協ニュース

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【JAレポート】 JAいわき市(福島県)―大量のカラー資料作成がスピーディーに

 時代の変化に的確に対応して事業を推進していくため、JAではさまざまな課題について役職員が迅速に意志決定することがますます求められている。意志決定のための経営管理委員会や理事会をはじめとする各種会議の資料は、いうまでもなくJAの戦略推進のための重要な文書であり、そのスムーズな作成も事務作業の課題となっている。
 福島県のJAいわき市では昨年3月に高速印刷機オルフィスを導入、迅速な資料作成と視覚に訴えるカラー化、さらにはコストダウンも実現したという。同JAの本店を訪ね同機導入のねらいと成果を聞いた。

組合員からも「分かりやすい」と好評

高速印刷機「オルフィス X7250」導入でコストダウンも実現


◆各部門からの資料作成が殺到


JAいわき市 福島県いわき市を管内とするJAいわき市は「元気ある農業の振興と心豊かな地域社会との共生?地域にかけがえのないJAをめざして」を経営理念に掲げる。組合員数は約2万3000人、組合員戸数約1万8000戸だ。
 組合員・利用者のニーズに的確に応え事業を推進していくため会議は欠かせないが、同JAの毎月の定例会議は、経営管理委員会、理事会のほか、本店の部課長で開く企画会議、支店長会議、支店課長会議などと目白押しだ。 そのほかにも金融部の信用渉外担当者(MA、マネーアドバイザー)会議、共済部のLA(ライフ・アドバイザー)検討会、営農経済部の経済渉外担当者会議なども本店で開かれる。
 これまで同JA本店でこうした月例会議を開く際には、各部門が資料を作成、印刷・製本をするために、フィニッシャー付き複合機2台で準備してきた。しかし、会議の日程が重なり2台の印刷機では処理できないことが多かった。印刷・製本が夜間にまでおよぶこともしばしばだったという。
 また、最高意志決定機関の経営管理委員会の前日には理事会、その前日には企画会議という日程が毎月設定されているため、会議終了後、直ちに議論をもとに修正や資料追加を行い、翌日の資料を作成することも求められる。いかに迅速に資料作成するかは大きな課題となってきた。
 資料のページ数も100ページを超えることは当たり前になったが、従来の複合機ではステープルの限界枚数は50枚、そのため100ページを超える資料の場合は、2冊に分けざるを得なかった。
 こうした課題のほか、最近では分かりやすい資料とするためカラー印刷の要望が多くなってきた。しかし、従来の複合機では単価が高く印刷制限をかけざるを得なかったという。

 


◆カラー印刷もふんだんに 大幅コストダウンも実現

 

フル稼働する「オルフィスX7250」 こうした課題を解決するため、同JAでは平成20年度に印刷速度や製本能力、カラー印刷の低単価化などを考え追加機の導入を検討、21年始めにオルフィスX7250を試験的に導入、ランニングコストや職員の評価などを検証したところ、評判もよく十分なコストダウンも想定できたことから21年3月に購入、稼働させた。
 同機の印刷スピードは1分間に120枚(A4横)で従来の複合機の同75枚より早い。また、同機のフィニッシャーは100枚までのステープルができるため、両面で200ページの資料作成も可能だ。カラー印刷の単価も従来機の1枚28円にくらべ、10分の1以下の同2.05円となっている。
 同JA総務課は導入から今年9月までの18か月間の使用状況をまとめた。
 オルフィスによるこの間の印刷枚数は月平均で10万枚以上で計190万枚を超えた。しかも、このうちフルカラー印刷は100万枚を超えている。従来機なら考えられなかった枚数だという。
 では、印刷コストはどうか。
 総務課の集計では、190万枚を印刷したオルフィスのランニングコストは18か月間で約117万円。これをかりに従来機で印刷したとすると約721万円となるという。差し引きで600万円以上のコストダウンとなった計算だ。かりにカラー印刷をすべて従来機でモノクロ印刷したとして試算しても、200万円以上の削減となることが分かった。
 導入にかかった費用を加味しても、従来機よりも大幅なコストダウンを実現できていることになる。
 「パソコンから印刷を簡単に指示できるし、ページ数の多い資料も簡単に大量作成できて大変便利に活用しています。コスト計算からも分かるように、使い続ければなお一層のコスト削減効果があるということです」と総務課では話す。

(写真)フル稼働する「オルフィスX7250」

 

 

◆外注せず自前で印刷


カラーチラシ作成も簡単にできるようになった オルフィスの導入で「気兼ねなくカラー印刷の資料が作成できるようになった」と各部門からの評価も高い。
 共済・信用はもちろん営農部門でも組合員・利用者に出向く取り組みが今のJAに求められているが、JAが提供する各種のサービスを視覚的にアピールすることは重要だ。カラー印刷の驚くほどのコストダウンで、チラシやパンフレットなどを各部署は積極的にカラー化するようになった。
 また、モノクロ印刷でもスピードアップとコストダウンによって、外部組織の印刷もJAが請け負うようになったという。その例が米づくりを計画的に進めるため組合員農家に記入してもらう水田台帳だ。これまでは地域水田協議会が台帳印刷を業者に発注していたが、水田協議会の構成メンバーでもあるJAがこれを印刷することにした。協議会にとってもコスト削減になっている。
 資料や文書はもちろん、組合員向けのチラシなども事業推進にとって欠かせないコミュニケーションツールだ。気軽にカラー印刷ができるようになって組合員からは「分かりやすい」と評判、職員のやる気にもつながるだろう。
 オルフィスは今やJAいわき市の事業推進の大切な機器となっているようだ。

(写真)カラーチラシ作成も簡単にできるようになった

(2010.09.24)