農政・農協ニュース

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作況指数99 過剰米26万t  22年産米の作柄・作付面積概況

 農水省は9月30日、平成22年産水稲の作付面積と9月15日現在の作柄概況を発表した。作付け面積は165万7000ha(うち主食用米158万ha)、10aあたり予想収量は526kg、作況指数は99だった。予想収穫量は831万tで、26万tの過剰米が発生する見込みだ。

◆全国的に穂数少ない 2年連続で作況指数100未満

 平成22年産水稲の全国平均は、10aあたり予想収量が526kg、作況指数は99で、2年連続で作柄が100を下回った。8月上旬には豊作が報じられていたが、概ね平年並みに落ち着いた。
 全国的に穂数・全もみ数が平年を下回ったが、登熟が平年を上回った。
 県別では、岩手県が104、宮城・福島県が103、千葉県が102など東日本の太平洋側で好調だった。
 一方、秋田・埼玉県は94、島根県は95と不調だった。5月〜6月の低温・日照不足が初期成育に影響を及ぼしたためと見ている。
 9月15日現在の刈取済面積は全国で31%と平年同時期に比べて多く、出穂の最盛期も主に東日本で例年より2〜7日ほど早かった。


22年産米水稲の作柄概況◆過剰作付け面積は4万ha

 水稲の全作付面積は165万7000haと昨年より2万ha増えたが、主食用米作付面積は158万haと昨年より1万2000ha減り、過剰作付け面積は4万1000haほどだった。
 主食用米以外の7万7000haの内訳は、加工用米が3万9300ha(前年比+1万3000ha)、新規需要米が3万4000ha(前年比+1万6000ha)など。
 主食用作付面積に10aあたり予想収量の526kgをかけた830万8000tが、22年産米の生産予想数量となる。
 22/23年の米需要見通しは805万tとされており、26万tの主食用過剰米が発生する計算だ。
 販売不振による21年産米の持ち越し在庫はいまだ35万tほどあるとされ、合計で60万t以上の過剰が発生する見込み。さらなる米価下落や、11月末に決まる23年産米の生産数量目標への影響も懸念される。


◆「米価維持と食料安全保障は別問題」 米の政府買い上げに含み

 筒井信隆農林水産副大臣はこの日の定例会見で、作柄が市場に及ぼす影響について、22年産の一等米比率が例年に比べて極めて低いため21年産の一等米が急に売れ出したなどの情報を得ていると述べ、「過去に例のない新しい事態が発生している。米価の変動を極めて慎重に見極めたい」とした。
 また、過剰米の政府買い上げについては、「戸別所得補償制度と矛盾する。制度の非参加者が税金から恩恵を受けるのは不公平で、消費者負担の増加にもつながる」と、改めて米価維持政策としての買い上げはしないことを明言した。
 しかし、「備蓄米としての買い上げは食料安全保障の問題であり、米価維持とは別問題だと考えている」と、含みを持たせた発言もした。
 またこの日、8月末時点での参加件数が133万件を超えたと発表された戸別所得補償制度については、一定の評価を与えた。
 水稲の全作付け面積は2万ha増えたが、主食用の過剰作付け面積は1万2000ha減っており、3万ha以上飼料用米・米粉用米などの非主食用米作付けが増えたことになる。
 これまで生産数量目標非参加者にペナルティを課してきたにもかかわらず目標を達成できなかったが、今回はペナルティを課さずに政策誘導のみで参加率が増え目標数に近づいたのは、「戸別所得補償制度の成果だ」と述べ、「今後も制度の信頼性を高めて参加率を増やしたい。米粉用米や飼料用米などへ生産がシフトすれば、需給にもいい結果が出る」と、今後の見通しを語った。

(2010.10.01)