農政・農協ニュース

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食農教育推進にむけた全国セミナー  JAグループ

 JAグループはグループ一体となった食農教育の質的向上を図るため10月13〜14日の2日間、「JA食農教育推進セミナー」を横浜市で開いた。全国から約150人が参加した。

横浜市で開かれた「JA食農教育推進セミナー」 セミナーではJA食農教育に先進的に取り組んでいる実践者が講師となって講演や報告を行った。
 JA全中の伊藤澄一常務はあいさつの中で「将来生産者であり消費者となっていく子どもたちに、大人やJAは何ができて何をメッセージしていくべきかがテーマ」だとしてセミナーへの期待を語った。
 また、JA神奈川県中央会の安藤伸男専務は「昨年のJA全国大会での決議実践の中でも食農教育の比重は大きいと認識している。神奈川でも将来の消費者づくりに向けた食農教育の重要性を痛感し、全JAで食農教育プランを策定して取り組んでいる。
 小学校に資料などを配布提供しているが、知識だけでなく実際の体験が子どもたちへの相乗効果を生む。食農教育の輪が全国津々浦々に広がることを願っている」と述べた。
JA広島中央会・岸房康行専務 初日に基調講演したのはJA広島中央会の岸房康行専務(写真・左)。「地域が一体となったJA食農教育の重要性」をテーマに、子どもたちの育成を観点に置いた県下の取り組みについて紹介した。

◆体験が豊かな心を育む

 過去の新聞記事を例に挙げて子どもたちの学力・体力の低下を危惧し、生活習慣や食生活の乱れが要因にあると指摘した。野菜づくりや調理など自然体験や生活体験が豊かな子どもの人格形成に効果をもたらすという過去の「食料・農業・農村白書」で発表された調査結果から、「子どもたちの自然体験不足を補うのは食農教育しかない」と強調した。
 その効果がめざましく表れた例として、平成14年に福富町立久芳小学校での取り組みを紹介した。
 給食を食べる子どもたちから自然体験や生活体験の不足を感じた校長先生が子どもたちに給食を一から作らせるという「給食をつくろう大作戦!」を決行。子どもたちは野菜づくりから献立づくり、調理に至るまで、農家の人や栄養士の協力を得ながら先生のアドバイスなしで行った。取り組み後の子どもたちは食べ残しがなくなり、毎日給食の話題で盛り上がり豊かな人格形成につながった。

◆先生への指導がポイント

 JAグループ広島は平成18年に食農教育ビジョンを策定。JA三次では市・町などと連携した食農教育プランの推進、JA福山市では中学校で「弁当の日」を実践している。
 平成17年の「食育基本法」制定によって食育推進基本計画の策定が義務づけられているが、実際は県下23市町のうち半分でしか作られていない。市・町がまだまだ本気ではなく、学校では中心となって進めていくべき先生や栄養教諭に農業体験がないため理解が足りない。キーポイントは「教諭」だと考え、教諭への農業体験から取り組んでいる。
 また今年度から食農教育の推進を市・町へ積極的に働きかけていく人材づくりとして食農教育担当者などを対象に「JA食農プランナー」の養成に努めている。

◆母親を巻き込んだ教育を

 食事の比率から食農教育は学校給食よりも「家庭」での重要性が高い。これから食農教育を推進していくうえで母親や家庭を巻き込むことがもっとも大事。
 「親の背中を見て子どもは育つ」と言われるが、それを一番見せられる場面は食事作りだろう。子育てで一番大切なのは手作りの食事を作ること。手作りの家庭料理がなくて食育はない。子どもたちの食農体験に加えて親の愛情が伝わる料理が豊かな子どもを育て、親子の絆を深める。
 食農教育成功のカギを握るのは母親にある。子どもたちを通して親を変えさせることが大事である。

 

全国から約150人が参加 その他の報告は下記の通り。
▽パネルディスカッション「JAあぐりスクールの魅力と可能性について」
▽実践報告「中学生のファームステイ事業?キャリア教育の視点から」JA菊地青壮年部・吉良昌芳氏、東大【祐】(※)氏
▽報告・協議「都市農村交流による地域活性化をめざして」JAこども交流プロジェクト、JAこども村
▽「グリーン・ツーリズムを通したJA食農教育の取り組みと地域活性化」JA都市農村交流全国協議会アドバイザー・早野豊喜氏
▽「“夏休み収穫体験ツアー”の取り組みとその目的について」JAあつぎ専務理事・大貫盛雄氏
▽パネルディスカッション「JA・学校・地域が一体となった食農教育〜「風のがっこう」「畑の教室」「学校給食」〜

(※)外字

(2010.10.14)