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【拡大版】JAは地域の生命線―<JAみっかび編>「『地域ブランド』づくりへ三ヶ日を売り込む」

 JAみっかびといえば、農産物販売高の8割以上を占める「三ヶ日みかん」という「ブランド」の確立とともに、「未合併」の道を選択したJAとしてもかねてから注目を集めてきた。
 果実の需要が減退するなか、みかん産地として今後どう農業振興を図り地域づくりに貢献するのか? そのために単独JAとしてどう人と組織をつくるのか? 同JAの後藤善一専務は「みんなが豊かな地域をめざす。そのためには強いJA職員づくりが必要です」と強調している。

現地ルポ

「みかんの里」でみんなが輝く

みかん園からは浜名湖も見える。ウォーキングラリーでグリーンツーリズムも実施(写真)
みかん園からは浜名湖も見える。ウォーキングラリーでグリーンツーリズムも実施

 

◆高まる使命 市町村合併とJA

 JAみっかびの正式名称は「三ヶ日町農業協同組合」である。管内は浜名湖の北西部、愛知県と境を接する。
 しかし、現在の本所の住所は静岡県浜松市北区三ヶ日町だ。平成の市町村大合併によって、自治体としての「町」はすでにない。
 一方、JAが周辺との合併を辞退することを決めたのは平成5年のこと。当時の組合長は後藤現専務の父、幹夫氏だった。
 ひとえに「合併すれば『三ヶ日みかん』のブランドはなくなってしまうのではないか」が理由だった。
 あれから17年、今、世界に誇る大選果場かから出荷されるみかんは年3万5000トン。糖度などを計測する光センサーから得られる情報を園地別・生産者別に地図上に落とし込む日本初のマッピングシステムも稼働、情報を生産指導、品質向上に役立て、市場の信頼を勝ち取ってきた。
 ただ、産地ブランドは生き残ったものの、皮肉なことに今度は「町」がなくなってしまったのだ。それを象徴するのが市の出張所(自治センター)の職員数。現在の23人が2年後には8人へと激減する予定だという。これでは行政による農業振興などは望むべくもない。
 「だから今、JAがなくなれば『三ヶ日町という括り』がなくなる、JA、がんばれ、という声が組合員以外からも聞かれるんです」(後藤専務)。
 今、JAみっかびはまさに「地域の生命線」になっているのである。


◆みんなが輝く地域に 柑橘出荷組合の原点

目標は「自ら考える強い職員をつくる」ことだと語る後藤善一JAみっかび代表理事専務 では、JAは何をめざすのか?
 後藤専務は「誰か一人のスーパーマンを生み出すことではない。みんなが豊か、という地域をめざす。若者にもそのビジョンを示せば後継者は残る」と強調する。
 後藤専務の考え方は、今年結成から50年を迎えた「三ヶ日町柑橘出荷組合」の歴史にありそうだ・・・。

(写真)
目標は「自ら考える強い職員をつくる」ことだと語る後藤善一JAみっかび代表理事専務


(続きは 【拡大版】JAは地域の生命線―<JAみっかび編>「『地域ブランド』づくりへ三ヶ日を売り込む」 で)

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(2010.11.01)