農政・農協ニュース

農政・農協ニュース

一覧に戻る

助けあい組織の全国交流集会 「JA健康寿命100歳サミット」とともに

 JA全中は「平成22年度JA助けあい組織全国交流集会」を11月1日・2日、都内で開いた。今年は第25回JA全国大会で決議した取り組みのひとつである「健康寿命100歳プロジェクト」の展開に向け、「JA健康寿命100歳サミット」も併せての開催となった。

あいさつする伊藤常務 急速な高齢化が進む日本社会では、公的福祉制度だけでは行き届かない部分を担う「助けあい」活動の役割が今後さらに重要になるとして、活動を活発にするためのポイントを把握・共有することを目的としたこの集会には、全国から助けあい活動に従事する職員176人が参加した。
 JA全中の伊藤澄一常務はあいさつの中で「高齢者福祉サービスは国のサービスであるフォーマルな部分と、それでは対応できない日常的なニーズを満たすためのインフォーマルなサービスで成り立っていて、助けあい活動はまさにインフォーマルサービスを提供するための重要な役割を担っている。みなさんの普段の活動が人々の日々の暮らしを支えている。助けあいの活動は日本が誇れるものであり、次世代に生きる人たちの活動モデルと言ってもよい」と述べた。
 1日目に「JA助けあい組織の育成とJA健康寿命100歳プロジェクトがめざすもの」として、くらしの活動推進部高齢者対策課の今井準幸課長が基調報告した。

(写真)
あいさつする伊藤常務


◆突出した日本の高齢化

基調報告した今井・高齢者対策課長 今井課長は、日本の高齢化のスピードは世界の中でも突出して早く、高齢化率は世界第1位で、今後団塊の世代の高齢化で前期高齢者のピークとなる「2025年問題」をあげた。
 その上でこれからのキーポイントは「自助・公助・互助・共助」で、特に助けあい組織を指す「互助」の重要性が増すと強調、▽単体の活動ではなく多様な活動と結びついたネットワークの先見性、▽わかりやすい明確な目標の設定、▽地域特性やJAらしさを活かした農業を基軸とした展開―などが今後の活動に必要になっていくとした。
 また組合員の高齢化など農山村で起きている問題をあげ、JAが行う高齢者への生活支援活動や事業は高齢者対策というよりも、正組合員の減少が招く総合事業全体への影響や組合員資格の継承問題、農地の保全・相続などを組織問題としてとらえていくべきだと述べた。

(写真)
基調報告した今井・高齢者対策課長


◆元気高齢者に対応した活動も

 2012年の介護保険制度改定で予想されることとして、「中重度者」へのケアが柱となり生活援助の給付範囲が縮小すると説明。では「軽度者への支援」はどうするのか? という課題をあげ、自費サービスの提供やボランティアとの連携、地域力の向上や住民のインフォーマルサービスへの参画が対応として想定されるなか、「まさにこれらはJAとすれば助けあい組織が担っていく部分である」と指摘。介護支援としてのインフォーマルサービスの提供だけでなく元気高齢者が集い、活動できる場の提供や確保も必要なことで、これは介護の世話にならないことによる国の社会保障費削減にも貢献することだろうと述べた。

 その後「自分たちの地域は自分たちで!」をテーマに常設型地域の茶の間「うちの実家」代表の河田珪子さんが講演し、JA菊池助けあいの会代表の池田秋子さんが「地域をつくる助けあい活動」をテーマに事例報告を行った。
 2日目は▽日本ウオーキング協会近畿本事務局長の稲垣高子氏、▽食文化史研究家・西武文理大学客員教授の永山久生氏、▽聖路加国際病院理事長・名誉院長の日野原重明氏が記念講演した。
 また「健康寿命100歳をめざす地域づくり」をテーマした全体討議を行い「JA健康寿命100歳宣言」(文中下)を採択した。

【JA健康寿命100歳宣言】
1.いつでも、どこでもウオーキング5000歩、運動習慣を身につけます。
2.世界が認める日本型食生活、100歳まで自分の口で養生します。
3.定期健診を受診して、100歳まで手当てをしながら、自分の体をいたわります。
4.ゆとりをもって、楽しみと生きがいのあるくらしを創造します。
5.家族や仲間と共に、楽しく、農業や地域活動に参加します。

(2010.11.02)