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薬用「甘草」の水耕栽培システムを開発 遺伝資源の国内確保に向けて  鹿島建設など

 日本で初めて薬用植物「甘草(かんぞう)」の水耕栽培に成功したと鹿島建設、医薬基盤研究所、千葉大学が10月28日発表した。

 甘草は国内使用量の100%が輸入だが、この栽培システムにより、残留農薬の危険のない均質な甘草を植物工場で短期間に安定生産でき、薬用植物の国内栽培に向けた新たな動きが加速するものと期待されている。
 植物工場は葉物の栽培が一般的だが、課題は採算性。薬用植物は付加価値の高い植物の代表だが、薬効成分を根に蓄積するものが多く、植物工場での栽培技術はほとんど確立されていない。
 甘草(生薬名)はグリチルリチンが主な有効成分で、一般用の漢方製剤では最も汎用度の高い漢方薬原料の1つ。みそや醤油に甘みをつける食品添加物や化粧品の原料などにも広く使われている。
 そのほとんどが野生の採取でまかなわれ、主要な輸入先である中国の採取制限や、世界的な生薬の需要増で価格も高騰している。
 また生物多様性条約で資源国との利益配分を考慮しないと生物遺伝資源へのアクセスが困難になっている状況もあって国内栽培への要望が高まっている。
 甘草は通常の水耕栽培では細根が大量に発生して根が肥大しないため今回のシステムでは適度なストレスを人工的に与えて根を肥大させる栽培ユニットを開発した。
 さらに甘草を成長させるための最適な日照や気温などの検証を進め、栽培に適した環境の形成に向けた植物工場(太陽光・人工光併用型)を設計し、その中に栽培ユニットを配置した。
 実用施設ではこのシステムに甘草苗を増殖する人工光型植物工場と、加工、出荷をする付帯施設を備えた生産工場のパッケージ化をイメージしている。
 11月24〜26日には幕張メッセで開く「アグロ・イノベーション」で実物を展示し、技術を紹介する予定。

(2010.11.05)