農政・農協ニュース

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ソバの実りは森林・草地周辺の方が良好  森林総研

 森林総合研究所は森林・草地が近くにある方が、ソバの結実率が高いという研究結果を発表した。森林のもつ生物多様性が、実際の農作物の生産に役立っていることを科学的に証明した。

森林に囲まれたソバ畑 ソバの受粉は、ミツバチ、アリ、ハエなどの昆虫が行う。ミツバチの移動範囲は数kmにおよぶが、その他の昆虫は数百m以内と狭い。
 茨城県常陸太田市でさまざまなソバ畑とその周辺環境を調査したところ、昆虫の種類、ソバの結実率ともに、森林や草地など農地以外の生物多様性の高い植生が近くに、広範囲である畑の方が結実率がよいとの結果が出た。
 生物多様性は希少種の絶滅や景観などの観点で注目を集めているが、実際の人間生活でいかに役立っているかの科学的検証はほとんどなされていない。森林総研は、本研究が生物多様性の保全につながると期待している。
 これは神戸大学と北海道大学の共同研究で行われた。「Effects of landscape metrics on Apis and non-Apis pollinators and seed set in common buckwheat」のタイトルで、『Basic and Applied Ecology』Online版に公表された。雑誌掲載は未定。

黒丸の大きさが結実率をあらわす。森林・草地が近くに広くある方が結実率がよい。(写真)森林に囲まれたソバ畑
(図表)黒丸の大きさが結実率をあらわす。森林・草地が近くに広くある方が結実率がよい。

(2010.11.18)