農政・農協ニュース

農政・農協ニュース

一覧に戻る

自由貿易への懐疑広がる 注目される共和党 茶会系議員の動向  全中の国際レターが11月で特集

 JA全中の「国際農業・食料レター」11月号は「米国中間選挙の結果と農業・貿易分野への影響について」を特集した。

 選挙結果は共和党が大勝し、同党内の茶会(ティーパーティー)系新人が大量に当選した。同レターはこれら新人の動向が今後、米国の農業・貿易分野に大きな影響を及ぼすーーとした。
 茶会の支持層は自由貿易に懐疑的な傾向が強い。このため「共和党=自由貿易主義」という従来からの構図が変わって来た。
 もともと自由貿易に懐疑的な一部民主党議員は、茶会系議員との連携を模索しており、これが現実となれば貿易分野でオバマ政権の議会運営がこれまで以上に難しくなる。自由貿易協定に政府間で合意しても議会が批准に一切応じない事態にもなりかねない。

  ◇

 農業分野では「財政のムダ排除」を選挙公約に掲げた茶会系議員が、農業法などに対して予算削減の圧力をかけるのではないかとの警戒心が強い。
 今後は2012年からの新しい農業法の議論が本格化することから、各農業団体が新人議員に同法の重要性を必死になって教育していくものとされる。それによって茶会系議員にどんな変化が生まれてくるかが注目される。

  ◇

 米調査会社の最近の世論調査では、自由貿易が米国経済に「良い影響がある」との回答割合が過去13年間で最低の35%となり、「悪い影響を及ぼす」が44%に上った。
 これは国民の声が自由貿易に懐疑的に傾いていることを示し、今後はワシントンの政治情勢にも影響を及ぼすことも考えられる。
 両党の支持者別にみてみると、元来は自由貿易を重視する姿勢だった共和党支持者のうち過半数の54%が「悪い影響を及ぼす」と回答。民主党支持者の35%を上回った。
 この調査からは茶会系の台頭が共和党支持者の従来からの主張に変化をもたらしていることがうかがえる。
 茶会系支持者だけに限れば「悪い影響を及ぼす」との回答が63%にも上っている。
 同じく自由貿易が米国経済、雇用に与える影響についても茶会系支持者は、民主党支持者よりも懐疑的で「自由貿易は雇用減につながる」との回答が67%にも上った。

  ◇

 「ティーパーティ運動」は、多額の財政負担を伴うオバマ政権に対する反感から草の根的に広がった。財政のムダを徹底して排除することを目指し、いわゆる「小さな政府」を求めている。レターはまだ各政策でどのような意思を示すのか読めない部分が多い――としている。

全中の国際レターが11月で「米国中間選挙の結果と農業・貿易分野への影響について」を特集

(2010.12.01)