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米の価格、下げ止まりの傾向

 農林水産省が11月30日に公表した22年産米の10月相対取引価格は全銘柄平均で60kg1万2781円となったが、同省が行った米穀販売業者などへの聞き取り調査結果によると米価下落に歯止めがかかる傾向もみられる。

 同省は10月28日から11月17日にかけて大手卸業者や量販店に対して米の需給と価格動向に関するヒアリングを実施した(対象7業者)。
 意見のまとめによると相対取引価格については、「米モデル事業の実施が発表されてから、固定支払い分(10a1.5万円)は米価が下がっても仕方がないとの雰囲気があったのは事実」としながらも、現実の米価下落は「20・21年産の在庫圧力や22年産の豊作基調などの需給関係によるものが大きい」という。
 モデル対策による量販店からの値下げ要求もない、と回答。また、全農が相対取引価格を予想以上に引き下げて取引を開始したとして「22年産は末端で値頃感が出ておりこれ以上下げる必要はない」との意見だった。
 小売価格は相対取引価格ほど下がってはおらず、これについては22年産米の品質低下で「とう精歩留まりが悪いこと」や「一旦下げた価格は元に戻らないことから先々を考えて極端な安売りをしないようにしている」などの意見があった。
 そのほか、「店頭価格をこれ以上下げても消費が増えるわけではなく、今のところ下げるつもりはない」との指摘もあった。
 そのほか、生産者の拠出金である過剰米対策基金321億円を使った需給調整については「インパクトが強い」とし「価格下落の主たる原因は21年産の在庫と22年産の品質の悪さで、これが整理できれば需給はしまる」とする意見があったものの、「ただし、末端価格に転嫁はできない」という。同様に「22年産米の底値を付けるためには政府買い入れが必要」とする声も。ただし「末端価格は上がらない」という。
 その一方、何らかの需給対策はモデル事業非参加者にも恩恵が及ぶとして「ここは何もしない方針でブレないでほしい。何もしなければ来年は生産調整を行う生産者が大幅に増加する」との意見もあった。

(2010.12.10)