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「農協の存在意義と新しい展開方向」(小池恒男編著)にJA研究賞

 平成22年度「JA研究賞」に選定された、「農協の存在意義と新しい展開方向―他律的改革への決別と新提言」(小池恒男編著、平成20年12月 昭和堂発行)の授賞式が12月15日に行われ、茂木全中会長から表彰状と副賞50万円が贈られた。

左から茂木全中会長・小池名誉教授・瀬津常務 「JA研究賞」は昭和48年から、JAとJAに関連する協同組合運動についての著書・研究論文などのなかから優れたものを選定し、JA全中が表彰する制度。
 受賞した本書は、昭和34年に近畿地区の農協関係者と研究者によって設立された「近畿農協研究会」(研究会)の創立50周年、同研究会の活動をもとに昭和43年に社団法人としてスタートした「農業開発研修センター」(センター)の40周年を記念して共同で企画・出版された。
 本書は、「農協の基底条件の変化と農協の対応課題」「農協の事業革新のための戦略的課題」「農協の組織改革の戦略的課題」の3部13章で構成され、研究会やセンターの事業等に参加している気鋭の研究者13名によって執筆されている。
 選考委員である白石正彦東京農大名誉教授は、本書を構成している3つの課題について「体系的に考察している」、「社会経済システムとしての農協制度」の新展開という視角から「コミュニティ・コープ、自立的小規模活動組織、それをつなぐ事業ネットワークついて考察」、「新しい農協運動のデザイン―10の提言―」で「今後の農協運動に大きな示唆を与えた」と評価した。
 授賞式後の記者会見で小池恒男滋賀県立大名誉教授(センター副会長、研究会代表)は「13名で共同研究ができ、(農協に対して)批判的なことも書いたのに受賞できて嬉しい」、瀬津孝センター常務は「昭和50年に当時センターの会長だった桑原正信先生の監修による『現代農業協同組合論』で受賞して以来の35年ぶり、2回目の受賞で嬉しい」と受賞の喜びを語った。
 また小池名誉教授は副題につけられた「他律的改革…」ついて、平成12年ころからJA改革が行政の意向や政治情勢の反映などによって「他律的にすすめられてきた」という問題意識からの提起だったが、本書が出版された翌年に「民主党に政権交代し、出版当時は想像もしないほど、大きくその関係が変化した。これについては今後、研究する必要がある」と語った。
 なお本書をテキストに、農業協同組合研究会は08年度第2回課題別研究会で議論しているので参照されたい。

(写真・左から)茂木全中会長・小池名誉教授・瀬津常務

(2010.12.17)