農政・農協ニュース

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JAは検査員の指導・育成強化を 第8回JAグループ全国農畜産物鑑定会

 JA全農と全国JA農産物検査協議会では検査員の鑑定技術向上をねらい、毎年「JAグループ全国農産物鑑定会」を行っている。8回目となる今年は3月11日、千葉市・美浜区のJA共済幕張研修センターで開き、全国各地のJAから76人が参加した。

表彰者5人(前列左から須佐さん、高石さん、浅井さん=最高得点者、寺田さん、岩橋さん)(写真)
表彰者5人(前列左から須佐さん、高石さん、浅井さん=最高得点者、寺田さん、岩橋さん)

◆浅野純さん(JAぎふ)が最高点

内山勝博会長 主催者あいさつで全国JA農産物検査協議会の内山勝博会長(新潟県農産物検査協会専務理事)は「地域で指導的役割を果たしているみなさんは、技術を広く伝える務めもある」と検査員同士の情報交換も重要だと述べた。
 来賓で全国瑞穂食糧検査協会の穴井貞義常務は「等級付けをしっかりしてもハンコを押し間違えたらダメ。最後まで責任を持ってやってほしい」と、参加者に技術・意識の向上が大事だと呼びかけた。
 鑑定会では成績優秀者上位5人を表彰する。
 最高点を取ったのはJAぎふ下中カントリーエレベーター主任の浅井純さん。「岐阜県の主産品種はコシヒカリではないので等級を決めるのが難しく、これまで県代表がなかなか上位に食い込めなかった。行政の役割が小さくなっていく中で、よりいっそうがんばりたい」と受賞の喜びを語った。
穴井貞義常務 そのほか、▽高石康司さん(愛媛・JAうま営農部営農販売課課長)▽寺田将文さん(JA香川県大川地区四国大川東CE所長)▽須佐大哉さん(新潟・JA北魚沼湯之谷営農センター営農指導員)▽岩橋崇さん(福島・JAあいづ営農経済部営農企画課長)、の4人を表彰した(成績上位順)。

(写真)
上:内山勝博会長
下:穴井貞義常務


◆検査の重要性ますます高まる 米トレサ法など背景に

 コメの等級などの検査は、平成12年に農産物検査法が改正され、13年から民間登録検査機関への委託がスタート。18年には完全民営化した。
 現在、JAグループのほかにもコメ卸、小売業者、生産法人などもあわせて全国で1414機関で検査員1万4516人が登録しているが、全検査量の8割以上はJAグループが担っている。JAグループには、より公正・健全な検査で食の安心安全と信頼性を高めるのはもとより、検査員の育成・研修などの指導体制の強化も求められている。
 鑑定会では全農パールライス東日本の安藤繁常務取締役が「JAS法・米トレサ法を担保する農産物検査に期待すること」として基調講演した。
 同社は精米・玄米合計で年間21万トンを取り扱っている(22年度計画)。消費者の安心安全や異物混入への関心、食味への要求などの高まり、とくに22年産米の品質低下などを背景に苦情・問い合わせ件数が増えているという。
 7年前、完全民営化を前にJA系統検査員を対象に講演した当時の資料を持ち出し、「昨年10月1日に施行された米トレーサビリティ法で表示制度が変わるなど、検査の重要性は比べ物にならないほど高まった」ことを紹介。「玄米という“商品”をつくる」という気持ちで「継続的な情報収集と研鑽を」と呼びかけた。
 また、JA全農とちぎ米麦部検査協会の塩谷岩夫事務局次長が、各種研修会や農業倉庫の美化コンクールなど、県内の検査技術向上の取り組みを紹介した。

 

(2011.03.16)