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【震災関連】 姉妹JAから被災地に届く支援の手  JAいわて花巻・JA紀の里・JA横浜

 3月11日に発生した東北関東大震災の被災地を支援する動きがJA間でも見られる。地震による津波で甚大な被害を受けた釜石市や大槌町を管内に含む岩手県のJAいわて花巻には、姉妹提携を結ぶJAからあたたかい支援の手が差し伸べられた。
 姉妹提携締結によって役職員間をはじめ、組織間でも強いつながり意識が生まれているようだ。

 JAいわて花巻は平成13年、全国初となるJA間での姉妹提携を和歌山県のJA紀の里と結んだ。きっかけは提携の前年、JA紀の里にファーマーズマーケット(FM)「めっけもん広場」がオープンするにあたってJAいわて花巻のFM「母ちゃんハウスだぁすこ」へ研修に訪れたことに始まる。まずは両FM間の提携販売からはじまり、今では女性組織同士のさかんな交流へと広がっている。

◆女性会の行動力がまとめ役に

物資の荷詰め作業をするかがやき部会員 今回、被災地への迅速な支援対応に貢献したのはJA紀の里女性会「かがやき部会」だ。これまで女性組織間で互いに視察を行うなどして親交を深めてきた。
 地震の発生を聞き、部会長の脇田保美さんは現地のようすを心配し、JAいわて花巻の女性部長に何度も連絡をとり続けた。
 何か自分たちにできることはないかと女性の目線で考えたとき、きっと被災地ではトイレットペーパーや下着など生活用品に困っているはず――地震発生から5日目にしてようやくつながった電話で、やはり生活用品が不足しているということを聞き、現地に救援物資を届けることにした。
 さっそく6支部の支部長を通してメンバーに物資の収集を呼びかけ、4日間でダンボール192箱分の物資が集まった。これと合わせて同JAから特産品のハッサクの生果と缶詰、計1000ケースが送られた。
救援物資を載せたトラックを見送る職員たち(3月19日) 同JAは支援物資の輸送を決めたものの、日程や物資の選定について協議中だったが、女性会から輸送手段の相談を持ちかけられたことで話がまとまり、支援の取り組みが実現に向かった。
 女性会の事務局を務める営農生活部の山名純一部長は、かがやき部会の行動について「JAからの呼びかけでなく、女性会自体が立ち上がって支援を決めていただいて本当にありがたかった。おかげで早い支援対応ができた」と話す。
トラックいっぱいに詰め込まれた かがやき部会では4月1日から各支部で開く総会で義援金を呼びかけ、今後も支援していく。

 

(写真・JA紀の里提供)
上:物資の荷詰め作業をするかがやき部会員
左下:救援物資を載せたトラックを見送る職員たち(3月19日)
右下:トラックいっぱいに詰め込まれた

 

◆提携半年 JA横浜からも

 JAいわて花巻は神奈川県のJA横浜とも昨年7月末、姉妹提携を結んだ。
 今回の震災発生を受けて3月18日、JA横浜はJAから100万円、役職員から200万円の計300万円の義援金を送った。
 JA横浜としての姉妹提携締結は初めてだが、JAいわて花巻からの要望を受けて、今後、他JAとの地域交流や産地間交流の先駆けとなることを期待した。
 提携してまだ半年ほどだが、直売所での産直品販売や理事・職員研修などで交流を図っている。
 同JA女性部も4月中頃から日用品など物資での支援を決めている。

◆支援に「感謝でいっぱい」

 これらの取り組みについて、JAいわて花巻の女性部長・葛巻輝さんは「女性部間でこのようなかたちになるとは思っていなかったので本当にありがたく感謝でいっぱいです。距離は離れていても立場は同じなので近い感じがしています。今後の交流の中で感謝を伝えていければ」と述べた。

◆「救援米」で助け合い

 JAいわて花巻管内では、相互の助け合いによる救援を行っている。
 初期対応として行ったのは「救援米」の取り組みだ。津波被害を受けた管内沿岸部の食料不足を受けて、特に調達が難しい白米を届けたいと内陸部の正組合員から救援米を募った。
 2000人から35tの白米が集まり、他の救援物資とともに沿岸部の避難所に届けられた。

(2011.03.30)