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東電と国に全面的賠償と米政策の見直しなどを要求  農民連・食健連

 農民運動全国連合会(農民連)と国民の食糧と健康を守る運動全国連絡会(食健連)は4月26日、福島県の農業者を中心に300人ほどが都内に集まって、東京電力と国に対する抗議・賠償請求行動を行った。

◆速やかな賠償を「期限示せ」

東電本社前に風評被害で売れなくなった茨城県産ホウレンソウを積み上げた この日集まったのは、当日福島県から来た人と他県に避難している人を含めて150人ほどと、その他風評被害に苦しむ茨城、千葉、群馬などの生産者など。「原発事故はまぎれもない人災だ」「農業のできる土地を返せ」「夢も希望も失った」などと書かれた看板やムシロ旗を掲げ、ホウレンソウやレタス等の農産物のほか、牛2頭を東電本社前に並べ、福島第一原発事故の早期収束と全損害の賠償を要求した。
 農民連の白石淳一会長は「これまで安全神話をうたいながら安全対策を怠ってきた東電と歴代政府の責任は重い」と強調。福島県農民連の亀田俊英会長は、「地元で安心して農業ができ、生きものが飼えるように戻してほしい」と訴えた。
 東京電力に対しては、事故の早期収束、放射能を原因とする農家のあらゆる損害に速やかな賠償を行うとともに作付け不能が長期化する場合には年次ごとの賠償も行うこと、土壌の放射能除去を行い放射能汚染を調べる検査体制を福島に設置すること、事故処理にあたっている労働者の健康保持を万全にし下請け労働者らを東電社員として処遇すること、の4点を要求した。

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東電本社前に風評被害で売れなくなった茨城県産ホウレンソウを積み上げた


◆「牛が何万頭も餓死している・・・夢も希望も失った」

代表団らは東電側の対応にも不満を訴えた 特に仮払いを含めた賠償については、「いつ、どうやって払うのか、まったく知らされていない。仮払い100万円にしても、いまだもらっていない。生活基盤がすべてなくなった、という苦しみをわかっているのか」などと抗議に対応した担当者に詰問し、東電側は「28日までに、いつまでに払うかなどの回答を出す」と応えた。また、抗議に参加した酪農家からは「避難区域の中に入れないため、何万頭という牛が餓死している。移動させる、買い上げるにしても、具体的にどうするのか発表がない」と憤りをあらわにした。
 その後、農水省を訪れた代表団は鹿野道彦農水相に対して、東電に要望した内容と併せて、計画数量の見直しと米価下落対策、被災地のコメを敬遠する業者に対する適正な指導、放射能汚染された稲のバイオ燃料用の技術開発と指導を行い主食用米並の所得を確保する、などの米政策の抜本的見直しを訴えた。

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代表団らは東電側の対応にも不満を訴えた

(2011.04.27)