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モリブデン化合物で苗立ち改善 水稲直播栽培に新技術  農研機構

 農研機構九州・沖縄農業研究センターは4月27日、モリブデン化合物を種子にまぶすことで水稲の苗立ちが良くなる仕組みを明らかにし、今春から実証試験を始めたと発表した。これは昨年8月に発表し、年間10大トピックスにも選定された研究成果をさらに詳しく調べたもので、5年以内の実用化をめざしている。

 コメ生産の作業省力化やコスト削減への対策として期待される直播栽培だが、種子が出芽してもすぐに枯れてしまうという苗立ちの不安定さが課題だった。
 その克服には従来、酸素発生剤が使われてきたが、モリブデン化合物を種子にまぶす方法により、従来の1割程度の費用で簡単に苗立ちを改善することができる。
 水稲種子を播種すると、種子の周辺が酸素不足となり水稲の生育に有害な硫化物イオンが発生するが、モリブデン化合物は硫化物イオンの発生を抑える効果があり、苗立ち改善に役立つ。
 モリブデン化合物はこれまでも肥料の添加物として使われてきたが、この技術では極少量だが高濃度のモリブデン化合物を利用するため、今後試験を重ねて収穫したコメへの残留と安全性などを確認していく。単年度の試験では、コメ100gに対しモリブデン20μgが増えるとの結果が出たが、これは国産大豆(可食部100gあたり260μg)よりも低い値だった。
 実用化される場合は、農薬取締法に基づく農薬ではなくて一般的な生産資材となる。

モリブデン化合物をまぶした種子の苗立ち向上効果

従来法と新方式の違い
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(2011.05.10)