農政・農協ニュース

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韓国農協中央会が震災対策で全農を応援 「今後とも互いに協力していきたい」  李安喆・日本事務所長

 東日本大震災によって、JA全農の燃料事業部門では一部の燃料確保が一時的に困難になったが、韓国農協中央会の手配によって4月中旬に灯油を確保した。両国農協の全国組織が事業面で連携したのは初めてのこと。李安喆(リ・アンチョル)日本事務所長は「協同組合どうしの協同。自分も高く評価したい」と話している。

李安喆・日本事務所長 東日本大震災によって日本全体で被災地域への燃料供給が優先されたこともあって、JAグループが農業、農家向けに供給する燃料が不足した。
 3月下旬にこうした事情を韓国農協中央会のトップ層に伝えたところ、同中央会としてJA全農向け分を確保、提供することを快諾した。韓国農協中央会も組合員への購買事業として燃料供給を行ってはいるが、ただし、備蓄はなく同国の石油会社から必要量を調達するという方式。備蓄分を振り向けるのではなく、同中央会が取引のある現代精油社と折衝し、日本のスペックに合う灯油を4000kl確保した。
 この灯油は4月12日に船積みされ14日に全農の金沢石油基地に入港した。その後、新潟の石油基地向けに活用されている。
 今回の協力で韓国農協中央会は手数料などは一切取らず、価格交渉は全農が行ったという。全農は現代精油社とこれまで取引がなかったが、これによってつながりができた。
 李所長は「協同組合の精神にあったもので自分たちとしても今回の取り組みを高く評価したい。韓国も何かが不足したときにはJAグループに協力してもらいたい」と話す。
 これまで両国の農協はJA段階での交流活動も含め友好関係にはあったが全国機関による事業面での連携は初めて。
 「今後、お互いの農協組織がつくる農産加工品を販売するなど理解と協力を深める提携ができないかと思います。農家を守る農協として連携できれば」と李所長は話していた。

(2011.05.12)