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震災でエサ米の重要性を再認識  全国養鶏経営者会議が総会

 全国の中小規模の養鶏経営者ら260人ほどで組織する全国養鶏経営者会議(全鶏会議)は5月19日、第45回通常総会を開いた。総会後、東京・有楽町駅前で東日本大震災への支援とタマゴの消費拡大を訴えるPR活動を行った。

 総会では、22年度の事業報告として、コメ生産者からのアプローチなどを受けてエサ米の活用が増えていることや、22年度から導入された成鶏更新緊急支援事業の効果で加工メーカーが原料タマゴを買い込んだため卵価が上昇したことなどが報告された。
 23年度事業計画には、新たに日本養鶏協会が事業主体となってスタートする新経営安定事業への対応や、さらなるエサ米の利活用などを盛り込んだ。震災の影響で配合飼料が通常の半分ほどしか供給されなかった際にも、国産飼料用米を確保していたことで「心強かった」との意見もあり、震災を受けていっそうエサ米の重要性を再認識したという。


◆畜産生産を止めない

合計1000パックのタマゴを配付。「タマゴを買ったつもりで」と義援金を出す人も多かった。

 総会後のPR活動は今年で3年目。
 昨年はエサ米を活用した「コメたまご」を配付するなど、例年タマゴの消費拡大や機能性を訴えてきたが、今年は東日本大震災で被災した養鶏経営者らを応援しようと「たまごを食べて日本を元気に!」と呼びかけて義援金を募り、合計1000パック配布したタマゴも、福島、千葉など被災地の会員経営者のものを使った。
 千葉県旭市で30万羽ほどを経営する宮澤哲雄さんの農場では、従業員2人の家が津波で流されるなどの被害を受けたが、少しでも被災者の力になれば、と避難所にタマゴを提供するなどの支援をした。
 現在は震災直後の市場や流通の混乱は収まりつつあるが、養鶏に限らず、畜産経営は一度生産が止まってしまうと復活するのが困難だ。宮澤さんは「仮に半年後に復活できても、生産を止めている間に顧客が変わってしまうので、またゼロから出荷先を探さなくてはいけない。東北地方を中心に止まっている仲間もいるので、業界をあげて応援したい」と力を込めて語った。

(写真)
合計1000パックのタマゴを配付。「タマゴを買ったつもりで」と義援金を出す人も多かった。


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