農政・農協ニュース

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脱原発とTPP参加反対を決議  生活クラブ連合会総会

 生活クラブ事業連合生協連(加藤好一会長)は、6月24日、都内で第22回通常総会を開催した。

◆放射能自主検査体制の強化など決める

生活クラブ連合会総会 総会では2010年度活動報告と決算報告を承認し、2011年度活動方針などを決定するとともに、「東日本大震災対応方針」についても決定した。
 東日本大震災への対応については、4月21日に開催された「2011年政策討論集会」で基本的な方向が打ち出されていたが(参照記事)それをさらに具体化した「対応方針」として提案され、組織討議がされていた。
 総会ではそのなかの「原発事故への対応」部分について「今後の検査体制・計画」などを補強した方針を提案し承認された。
 原発事故への対応の基本方針では、東電福島第一原発事故は「現在もなお『非常事態宣言』の状態」にあり、「環境・人体・作物への汚染は続いており、最終的な汚染の範囲と程度を見極めることができない事態」におかれているとし、「この状況下の食品放射能汚染に対して、従来の平時における自主基準値(セシウム37Bq/kg)にもとづく運用は物理的に不可能である」と判断し、「やむなく停止」せざるを得ないとしている。
 そのため当面は「国の暫定規制値にもとづき」供給を継続するが、これを無批判に運用するのではなく、「放射能汚染が人の健康に与える影響に閾値はなく、より影響を受けやすい子どもや妊婦をはじめ、できるだけ避けるのが望ましい」という考え方にたって、諸対策に取り組んでいく。
 具体的には、現在実施している委託による放射能自主検査を継続しながら、飯能(消費材全般)と戸田(青果物)両DCに「新たな食品放射能測定装置を自前で配置」し、9月から全品目を対象とする物流品放射能検査を開始する。
 また、提携生産者にも「共に放射能汚染に立ち向かうために」自主放射能検査を引き続き求めていくことにしている。自主検査結果により供給を止めた場合の生産者の損失は、まず東電と国に対して補償を求めるが、「仮にそれが受けられない場合であっても、組合員のカンパなどの資金を充てて生活クラブが保障」する。
 そうした取り組みと同時に組合員による学習や討議を重ね、提携生産者とともに「新たな放射能自主基準を創造」していくことにもしている。


◆既存原発のリスク順に廃炉など求め決議

 さらに総会では「脱原発社会をめざしましょう」という特別決議をするとともに、「六ヶ所再処理工場」に反対し放射能汚染を阻止する全国ネットワークや放射能汚染食品測定室と連携して、脱原発社会のための諸活動進めていくことにしている。
 脱原発特別決議では、まず「現在のエネルギー需給に影響を及ぼさない六ヶ所再処理工場の本格稼動中止と、原発の新規建設中止」を求めている。
 そして今後の検討課題として▽省エネルギー化、再生可能エネルギーの開発普及を強化しながら、既存の原発についてリスク順に廃炉にする▽停止・廃炉までの運転期間対策として、安全対策・情報開示のさらなる強化と第三者監視機関の早期設置▽長期目標は、すべての原発・関連施設の廃炉。


◆TPP反対を明確に打ち出す

 さらに総会では「TPPに反対し、食料・飼料の自給と飼料備蓄を進めます」という特別決議も採択された。
 生活クラブは昨年11月に「国民的な議論も合意形成もないまま、交渉・参加を前提とした検討に着手すべきではない」、TPPは生活クラブが「産消提携によるさまざまな実践の成果と将来に向けた可能性を壊す恐れが高く、懸念」するという見解をだしているが、今回の特別決議では次のようにさらに踏み込んでTPP交渉への参加に明確に反対の意思を表明している。その理由は
 日本が参加した場合「TPPは実質的に例外条項なき日米FTAになるといわれており」オバマ大統領がいう米国の「輸出立国宣言」を実施する舞台となる。日本から米国への工業製品の関税が若干引き下げられても、「米国によるドル安誘導の為替操作でその効果は吹き飛ばされ」るので「輸出は増えない」。日本に輸出の恩恵を与えぬまま「日本の農業・金融・保険・医療などの完全な市場開放を迫るのが米国の外交戦略」である。
 さらに関税だけではなく米国が「非関税障壁」と批判している、「日本の消費者保護政策も、緩和・廃止の槍玉に挙がるおそれ」があり、具体的には「遺伝子組換え食品をはじめとする食品表示や、食品添加物・農薬・BSEなどの食品安全基準」が該当すると指摘。したがって「本総会を機に、TPP交渉への参加に反対する態度を内外に明らかにします」と宣言した。
 なお総会には、JA全中の冨士重夫専務も来賓として出席し、同じ協同組合としてTPP反対など共同で取り組んでいく決意を述べた。

(2011.06.27)