農政・農協ニュース

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7月中に中間提言 政府の「食と農林漁業再生会議」

 食と農林漁業の再生実現会議が7月12日に開かれ、中間提言のとりまとめに向けた議論をした。この日の議論をふまえ月内に再度会合を開き、中間提言をまとめる予定だ。

 中間提言の骨子は、(1)攻めの担い手実現―農地流動化・集約化、(2)成長産業化―6次産業化、(3)自然エネルギー―農山漁村の資源を活用、(4)森林林業の再生、(5)水産業の再生、(6)東日本大震災からの復興、(7)原子力災害への取り組み。さらにこの中間提言の位置づけを買い込む。
 篠原副大臣によると(1)の「攻めの担い手実現」では、「とくに若手が外部から新規参入しやすい仕組みには、菅総理もこだわっている」としてフランスで導入されている新規就農者への直接支払いによる経済支援制度の導入を提言するという。
 また、農地集約についてはJA全中の茂木会長がJAグループの提言として平地で2030ha、中山間地域で1020haで1経営体を実現するとしているビジョンが盛り込まれる見込み。
 12日の会合のおもな発言は以下のとおり。

【菅直人首相】
 
震災から4カ月。少し間があいたが気仙沼、石巻にカツオなども陸揚げされ市場も再開し徐々に復旧してきている。(震災からの)復旧・復興が日本の農林水産業を先導していくかたちにしていきたい。
 日本農業の再生のために、若い人材の新規参入促進、6次産業化、水田農業の大規模化、自然エネルギーの活用が必要だと言ってきたが、それがこの提言のなかに入っている。従来の延長線で復興するのではなくて新しいモデルをつくるということを考えている。

【大泉一貫・宮城大事業構想学部長】
 
東北の農林漁業者の心情を理解した一次産業を中心とした復興をしなければいけない。
 TPPと農業と対立観念があるがもっと冷静に議論を。TPPがどういう影響を与えるかについての政府の統一見解とTPP交渉の情報開示をすべき。

【川勝平太・静岡県知事】
 
原発事故で故郷を奪われた人たちがいちばん困っている。この人たちを助けるべきであり希望を与えるべき。
(首都機能移転問題で候補となった栃木の)那須が原に来てもらって新たな故郷を再生してもらうといったことも書き込むべきではないか。

【茂木守・JA全中会長】
 
やはり今考えるべきは原発事故の終息。東電の賠償も仮払いが遅々として進まない。早急にやるべき。営農再開のめどが立たない人も多く3次補正予算ではそこを手当てすることが課題。農業者の心情を考えると、TPP推進をいうのは理解しがたい。
 中間提言では、復旧・復興をいちばん最初の項目とすべきではないか。競争力強化がよく言われるが、現場の実態に即した農業の絵姿をきちんと示すべき。
 農業や第一次産業が大事だといいながら平成12年度までは3兆円をくだらなかったのに、23年度は2兆4000億円になっている。生産拡大、自給率の向上、自然エネルギーの推進などを考えた場合に十分な予算をつけるべき。

【深川由紀子・早大教授】
 
骨子には違和感がある。そもそもTPP、包括的経済連携ということで始まったにもかかわらずTPPについてはあまり触れられていない。国際競争に耐えうる農業の構築というのが(この会議に)与えられた使命ではないのか。農林水産業の復興会議ではない。国際競争力をつけることを考えれば構造改革が絶対に必要。北海道や九州はほぼ無傷なのでそちらは粛々と構造改革をやっていくべき。

【村田紀敏・セブン&アイ・ホールディングス代表取締役社長】
 
目的認識が明確になっていない。経済力を強め日本全体を再生していくことが大目的。そのために農業をどうするか。TPPに関する考え方も明確に打ち出すべき。被災した人たちの心情、農業者、漁業者に対する情のある政策は必要だが、国難にあるときは非情に徹していくべきではないか。

【生源寺眞一・名大教授】
 農業とTPPが対立の構図ではうまくいかない。開国フォーラムでも農業者からの反発は非常に強烈だった。しかし、納税者、あるいは消費者の理解が必要で、その意味ではある時には非情の政策も必要ではないか。たとえば直接支払いが膨大になってきつつあるが、政府は冷静に考えてこれを説明してほしい。戸別所得補償制度は、担い手構築の点では弱い。直接支払いも、規模拡大して農地を借りている農家を直接バックアップするような政策も打ち出していくべきではないか。
 現行の食料・農業・農村基本計画との整合性の問題については、これは5年ごとに変えるためあまり気にする必要はないのではないか。

【佛田利弘・ぶった農産代表取締役社長】
 
中間提言で重要なのは、これを見て農業をやりたくなる人をいかにつくるかということ。震災の被害者にも同じように光明を与えるような政策提言にすべき。

【相良律子・栃木県女性農業士会会長】
 
ジャパンブランドを再構築するというが、原発の終息が先だ。
 6次産業化では農家は下働きで低い地位になってしまうおそれがあるのではないか、そこをよく考えてほしい。TPP参加は大問題で現場では農家はみな不安に思っている。

【鹿野道彦農相】
 
中間提言を見て農業をやる気になるかどうかがいちばん大事。今まで農家は依存体質が強かった。いろいろなメニューを国が提供するが、どういう道を選ぶかは農業者が選択するということを理解してほしい。日本の再生は東北の復興だけではなく第一次産業が鍵を握る。日本再生の軸になるということを確信している。

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 また、会見で篠原副大臣は「第三次補正予算、24年度予算にも(中間提言を)考慮していただきたいというのは、阿吽の呼吸でみなさん思っていることではないか」として、中間提言をもとに施策の具体化を進めていく考えを示した。

(2011.07.13)