農政・農協ニュース

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もみ殻・ぬかの放射能検査は?  コメの本調査始まる

 農水省は8月3日に23年産米の放射性セシウム検査について発表した。東北から東海にかけての17都県で登熟前の予備調査、収穫直前の本調査を旧市町村単位で行い、本調査の結果が出るまで当該地区からのコメの出荷は制限される。8月16日現在で千葉県4市町21地区、静岡県2市2地区の本調査を行い「検出せず」との結果が出た。

 検査はほ場から坪刈りし、乾燥・調整して玄米にした状態で調査しているのだが、それではもみ殻、ぬかなどコメの副産物についてはどうなっているのか。
 農水省の「平成22年産水陸稲の収穫量」調査によると、全国平均で10aあたり137?のもみ殻が出ており、これらの多くはたい肥として再利用されている。また、玄米を精米した時に810%出るぬかは、コメ油やぬか漬けなどの原料・加工品として量販店や農産物直売所などでも販売されている。
 東北大学の塚田氏らが2002年に発表した論文によると、イネの乾燥重量割合は、わら50%、白米34%、もみ殻8%、ぬか4%、根4%だが、セシウムの分布割合はわら73%、白米7%、もみ殻7%、ぬか10%、根3%だという。白米のセシウム分布割合は重量に比べて低く、逆にぬかは重量に比べて分布割合が高く、ぬかだけを集約すればセシウムの集積率は高まることになる。
 コメの放射性物質調査を担当する農水省総合食料局では副産物の調査については「検討中」だとして、特別な指導はしていない。
 あるJAの営農担当者は「コメの副産物は広範囲に利用されている。農村での利用実態を調べずに主食のコメだけを調査して完了してしまっては、また稲ワラ汚染のような問題が出るのではないか」と危機感を募らしている。農水省では9月中旬が本調査のピークになると見込んでおり、早急な対応が待たれる。

(2011.08.17)