農政・農協ニュース

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「農業復権」を柱に大会議案を検討  第26回JA全国大会

 来年10月に予定されている第26回JA全国大会議案の検討体制と今後の取り組みをJA全中は9月8日の理事会で決めた。第1回大会議案審議会を10月13日に開く。議案は組合員基盤の強化と5月にJAグループが打ち出した農業復権の実現などが検討のポイントとなる。

◆来年5月に組織協議案

 3年に1回開催されているJA全国大会。来年の第26回大会に向けてJA全国大会議案審議会を設置する。委員はJA全中に設置している「組織経営対策委員会」の委員が就任することを決めた。
 同委員会はJA全国大会決議の着実な実践・進捗状況を把握し、JAグループの組織・事業・経営の変革に取り組むことが目的で、JA組合長、県中・県連・県本部代表者、全国連会長・理事長、青年・女性組織の代表者で構成されている。
 議案審議会の委員長は萬歳JA全中会長、副委員長には村上・飛田両JA全中副会長が就任する。第1回審議会を10月13日に開く。 また、議案審議会のもとに専門的な検討を行うための「専門委員会」を設置する。委員長はJA全中の冨士専務が就く。さらに今回は実務的な検討を行うために専門委員会のもとに都道府県中央会の部課長クラスで構成する「第26回JA全国大会議案策定県中プロジェクト」の設置を決めた。
 11月から専門委員会と県中プロジェクトで議案の検討を開始し、24年5月をめどに組織協議案を決める。その後、組織協議を行い9月の議案審議会と全中理事会で大会議案を決める。
 第26回JA全国大会は10月11日、NHKホールでの開催が予定されている。


◆大震災の教訓ふまえ検討

 議案策定に向けた検討のポイントは、まず「新たな協同の創造」を掲げた第25回JA全国大会決議の実践と具体化を引き続きどう図るかになる。柱は「消費者との連携による農業復権」、「JAの総合性発揮による地域の再生」、「協同を支えるJA経営の変革」だ。 それに加えて東日本大震災を機に生まれてきた協同の価値の見直しや持続可能な社会といった新たな価値観に基づく地域社会づくりへの貢献なども課題となりそうだ。
 一方、JAの組織基盤に目を向けると正組合員の4割を占める173万人が70歳以上でこの層の世代交代が切迫している。これらの組合員の農地面積の合計はわが国の平均農地面積から算定すると、約230万haになると全中は試算している。
 この農地のほか、出資金や事業の利用などをどう円滑に次世代に継承していくかが課題でJAの組織・事業のあり方をどう変革するかが問われる。
 「農業の復権」の課題は、1集落で20〜30haの1経営体とすることを基本に打ち出した5月の政策提言をJAグループとしてどう具体化するかが中心となる。
 経営体のあり方は地域の実態に応じて集落営農組織、生産法人などを地域ごとに徹底した話し合いで合意形成して確保していくことになるが、こうした経営体が農業生産の大宗を占めることになることを見越して、農業関係の総合事業対応をJA、連合会、全国機関でどう機能分担し、対応を強化するかもポイントとなる。


◆将来的な脱原発も視野に

 「地域の再生」では地域の「ライフライン」としてのJAの役割発揮が課題。農地の利用集積を図り農業の担い手を確保する一方、組合員としては自給的農家や土地持ち非農家が多くなる。そういう状況変化のなかでJAとの結びつきを強めるような安全・安心な食とくらしをつくる事業をいかに展開するかも検討課題だ。同時にJAくらしの活動を一部JAの取り組みから全国展開を図ることも求められている。
 「JA経営の変革」も引き続き課題となるが、経営健全化のための事業管理費の削減は限界に来ている。今後、事業利益を確保するには、正組合員、准組合員、利用者それぞれの満足度を高めるような事業と経営管理が求められるかがポイントとなる。とくに准組合員が地域農業や地域社会、JAの応援団になるような、食と農を基軸とした協同組合としての事業展開と運営参画も検討課題となる。
 さらに今回の議案検討では、原発事故をふまえ将来的な脱原発に向け、自然エネルギーの確保、利用を推進するようJAグループとして何を問題提起できるかも課題となる。また、2012年国際協同組合年に開催されるJA全国大会として、世界と国内にJAをどう発信するかもテーマとなる。


【JA全国大会の過去の大会決議のテーマ】
◎第23回
(平成15年)
「農」と「共生」の世紀づくりをめざして-JA改革の断行
◎第24回(平成18年)
食と農を結ぶ活力あるJAづくり―「農」と「共生」の世紀を実現するために
◎第25回(平成21年)
大転換期における新たな協同の創造-農業の復権、地域の再生、JA経営の変革

(2011.09.15)