農政・農協ニュース

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「女性大会」開講のヒントを学ぶ全国交流集会

 JA全中と(社)家の光協会は「JA女性大学」の開講を促進するため、担当者同士が情報交換を図り、開講のきっかけの場となることを目的に「ヒントをつかもう!『JA女性大学』全国交流集会」を9月20日、都内で開いた。
 初の試みとなる集会には募集定員を上回る約90人のJA担当職員らが全国から参加した。後援はJA全国女性組織協議会。

北川教授は「JAの存在や事業を理解してもらう入り口」だと女性大学の必要性を語った。 開会のあいさつでJA全中の伊藤澄一常務は、一人4役5役の役割を持つ女性が一人の人間としてどう生きていくかというテーマや、人間として成長したいという願いを具体化する1つの場として女性大学への期待を述べた。
 JA全国女性協の瀬良静香会長は「今女性組織が求めている仲間はJAを一緒に盛り上げてくれる若い世代。成熟しきった組織に進歩はないが新しい風が吹くことで前進する」として「若い世代を獲得していく行動が必要。これまで関心を示さなかった地域の若い人たちが少しでもJAを理解し、最終的にJAや女性組織の応援団になってくれる仲間作りの第一歩として女性大学には意義がある」と激励した。

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北川教授は「JAの存在や事業を理解してもらう入り口」だと女性大学の必要性を語った。


◆若い世代へのアプローチが問題

 集会では昨年10月、JA全中と家の光協会が立ち上げた「JA女性大学開講促進委員会」のコーディネーターを務める福井県立大学の北川太一教授が「今こそ『JA女性大学』開講のとき!」をテーマに講演した。
 北川教授は「協同組合にとってもっとも大事なことは仲間を増やすこと」だとして、食や農を守り地域社会をつくっていくという点から「若い世代」「女性パワー」「地域住民・消費者」なくして将来のJAはあり得ないと強調。女性大学はこれまでアプローチしきれていなかったこの3者をJAと結びつける有効な役割であり、JAの組織基盤を強くする可能性があるとしてその必要性を述べた。


◆先進JAの事例から学ぶ

JAにじ(福岡)経済部生活課・星野房枝さん JA女性大学開講の先進JAとして実践報告したのは「JA女性大学開講促進委員会」委員であるJAにじ(福岡)経済部生活課の星野房枝さんと、JAみどりの(宮城)総務部総務課の佐藤弘子課長。開講までの流れや運営のポイント、カリキュラム作りの工夫などを紹介した。
 星野さんは受講者にJAへの理解を図ってもらおうと、毎回の講座に組合長や職員によるJAの活動紹介などを組み込んでいることや、欠席者には次回の案内とともに一言コメントを添え、次の出席につなげる配慮、共同研究の発表や卒業論文など自己表現できる場を多くつくっているといった取り組みを話した。
JAみどりの(宮城)総務部総務課・佐藤弘子課長 佐藤課長は、2期生から始めた託児サービスにボランティア協力した1期生の卒業生が、もっと育児のノウハウを磨きたいと子育てサポーターの養成講座に参加し、JAの子育て支援活動を実施するまでに発展した事例などを紹介した。

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上:JAにじ・星野房枝さん
下:JAみどりの・佐藤弘子課長


◆新しい仲間をどう取り込む?

各グループが討議後に意見を発表。女性大学開講につながるヒントを学びあった。 その後11グループに分かれて「JA全体に女性大学の重要性の理解をどう図るか?」「若い女性の参加をどう促進するか?」といった共通課題についてグループ討議し、まとめた考えを発表した。
 女性大学の重要性の理解促進については、▽企画会議に組合長に出席してもらう、▽職員向けに料理教室などを開いて女性部活動の理解を図る、といったトップとJA内部への働きかけや、職員の協力体制がカギだとして「理解を得てから進めるのではいつまでたっても始まらないため、半ば強制的に職員を巻き込むことも必要」との意見もあった。
 若い女性の参加を促すには▽市町村の育児サークルに足を運び参加を呼びかける、▽教育委員会と協力した若い母親へのアプローチ、といった募集方法へのアイデアが出た。
 最後に北川教授は「トップのリーダーシップも大事だが、組合員や受講生が前に出て主体的に取り組んでもらうような活動をめざすことが大事。女性大学の取り組みは協同活動の母体をつくりなおすことにつながる」として今後の積極的な活動を期待した。


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各グループが討議後に意見を発表。女性大学開講につながるヒントを学びあった。

(2011.09.22)