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梅加工でCO2削減 JA初、「エコポイント」登録  JA紀南

 JA紀南(和歌山県)は今年9月、環境省が推薦する「エコ・アクション・ポイント」事業でポイント付与対象企業として認定登録を受けた。
 梅加工を行っている中芳養加工場(なかはやかこうじょう)での環境に配慮した生産過程が評価されてのこと。和歌山環境エコ・アクション・ポイント協会の仲介によって登録された。JAが同事業に登録されたのは全国でも初めて。この認証を得たことで、同JAはねり梅や梅干しなどに「ポイント」を付与して販売できる。

◆確実なエコ実績の証

 同事業は「消費者が手軽に参加しやすいエコ活動の推進」を目的として3年前に環境省が発足させたもので、消費者のエコな行動に対してポイントが付与されるというプログラム。今年から(株)JCBが事務局として運営・管理している。
 エコ・アクション・ポイントに登録された企業は、取り扱う商品やサービスにポイントの付与が認められる。会員登録した消費者はポイント商品やサービスを購入・利用することでポイントが貯まり、貯まったポイント数に応じて家電やキッチン用品など現在112点ある商品と交換できる仕組みだ。
 ポイント付与企業の認定基準は、その商品・サービスを消費することで温室効果ガスの削減が数値で確認できるものと厳しく、現在ポイント付与商品は88種類ある。
 今回、JA紀南が登録認定されたのは、梅干しなどの生産過程で廃棄物焼却から発生するCO2を大幅に削減している点。ポイントを付与する商品は現在準備中で年明けから販売していく予定だ。


◆CO2削減量700t

併設している排水処理施設 全国有数の梅産地である和歌山県。同JAも梅を特産とし、管内には4つの梅加工施設を持つ。なかでも評価対象となった中芳養加工場は管内でもっとも大きく、基幹的な工場としてねり梅と梅干しを製造し、年間あわせて2700tをコンビニや食品会社などに出荷している。
 JAがエコな取り組みに踏みだしたのは平成17年。かつてはねり梅加工で残る年間約300tの梅の種を産業廃棄物として処理していたが、塩分を抜いて堆肥と飼料につくりかえ、飼料は地元の養豚業者に販売している。これは現在「紀州うめぶた」として地域でのブランド化も進んでいる。
 また、梅干し加工の味付け後に出る調味料の残り液は併設している排水処理施設で処理しているが、以前はそこから出た余剰汚泥を産業廃棄物として処理していた。それを現在は地元の田辺港輸入木材協同組合と協力して堆肥化し、農家に販売している。
 こうした取り組みによって約98.5%の廃棄物を再利用することで、年間およそ900tのCO2排出の抑制に貢献している。加工場内で使用する電気熱量分の200tを差し引いても700tのCO2削減を実現できている。

(写真)
併設している排水処理施設


◆商品の付加価値にも

 「せっかくこれまでエコな活動をしてきたので、それアピールすることでイメージアップにつなげたいと考えた」と今回登録申請した理由について同JA加工部研究開発室長で工場統括場長の林行則さんは話す。
 すでにいろいろな企業から「店頭に置いてほしい」「従来品にポイントをつけてほしい」といった依頼があるといい、近年高まる消費者や企業のエコ意識とも重なって、今後の販売につながる効果も期待できる。
 和歌山環境エコアクションポイント協会は「ポイントが付与できる立場となることが企業価値となり、ポイントが商品の付加価値となる。今後も全国の地域産業が認められ、付加価値となるように“エコのブランド化”をすすめていきたい」と話している。

梅干し加工から堆肥化までの流れ

 

(図)
梅干し加工から堆肥化までの流れ

(2011.11.25)