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【シリーズ・遺伝子組換え作物を考える EU編】加盟国の温度差大きく課題が山積み

 EU(欧州連合)はヨーロッパの27カ国が加盟しているため、遺伝子組換え(GM)作物についてみるとき、一筋縄ではいかない面がある。最近のGM作物に関するEUの動向の特徴について立川雅司茨城大学教授の話を中心にまとめた。

◆北欧向けGM作物が登場

nous1112260801.jpg 最近のEUにおけるGM作物に関するトピックス的なできごとといえば、まず2010年3月にスターチ用ではあるがGMバレイショ(BASF社のAmflora)の商業栽培が認可され、ドイツ・スウェーデン・チェコ・オランダ・スロベニアなどで栽培されたことだろう。
 もっとも苗のなかに未認可バレイショ(Amedea)が混入していたために、ドイツやスウェーデンなどは直ちに栽培を中止したが…。
 しかしそれでも、これまで商業栽培が認可されているGMトウモロコシ(MON810)が「主として南欧向けの作物だったのに対して、北欧向けのGM作物が登場したという意義がある」と立川教授は評価する。おそらく北欧諸国のなかでGM作物の商業栽培に取組んだのはスウェーデンが初めてだろう。
 このGMバレイショはスターチ用なので、今後、未認可バレイショのクリーニングが済みスターチメーカーとの契約がなされれば、広がっていく可能性はあるといえる。

(写真)
茨城大学農学部・立川雅司教授


nous1112260802.jpg◆認可GM作物は39栽培認可は2品目だけ

 現在、EUでは39品目のGM作物が承認されているが、そのうち栽培が認められているのはトウモロコシ(MON810)とスターチ用のバレイショ(Amflora)の2品目だけだ。後の37品目は輸入することが認められているもので、トウモロコシが23品目、ワタ7品目、ナタネ3品目、ダイズ3品目、テンサイ1品目となっている。

(続きは シリーズ・遺伝子組み換え農産物を考える で)

(2011.12.26)