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日本のTPP参加は米国にも不利益 JA全中がUSTRに意見表明

 JA全中の萬歳章会長は米国通商代表部(USTR)が実施していたTPPに対する意見募集に対して1月13日、「日本のTPP参加が認められるようなことになれば、米国にも不利益をもたらす可能性がある」との意見を提出した。

 萬歳会長はTPP参加によって酪農や食肉の国内生産が大幅に減少することになり、「日本の農業者は米国産大豆・トウモロコシを購入しなくなる」と米国農業への影響を強調した。同時に国からの輸出がなくなれば、日本が投資して運営してきた穀物輸出施設も影響を受け、米国内の地域経済や雇用にも悪影響が出るほか、日本で営業活動をしている米国の穀物会社の利益も損なわれるとした。
 また、離島で生産されているサトウキビなどが壊滅し国境地帯が荒廃することになれば、一部は離島に人が住めなくなるとして「国境地帯での無人島の増加は東アジアの安全保障に影響を及ぼす。このことは経済学的にも地政学的にも日米両国にとって利益とならない」と主張している。
 そのほか、日本の食料生産が減少しさらに輸入に頼ることになれば国際的な食料価格の高騰をもたらすと指摘、これによって専門家の試算ではアジアで2億7000万人の飢餓人口が増え、こうした事態は「日米両国も加わって合意した貧困や飢餓の削減に関する国際協定、国連ミレニアム開発目標にまったく反する」と強調している。また、TPPが掲げる例外なき関税撤廃や規制の統一は、APEC大阪行動指針で定めた自主性・柔軟性の原則に反し「アジア太平洋地域の農業の持続発展に資するものではない」ことも指摘し、日本の最優先課題は震災から復興と原発事故の終息であり「米国はTPP交渉への日本の参加を認めるべきではない」と主張している。

(2012.01.17)