農政・農協ニュース

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元気な生産者から学ぶ  【現地ルポ】東京都・大熊貴司さん(JA東京スマイル)

 日本の農業の衰退がいろいろにいわれている。高齢化や後継者不足、耕作放棄地の増大...数え上げれば切りがない。だが本当に日本農業はもうだめなのだろうか。
 北海道から沖縄まで日本は広い。この広い日本の農村地帯を歩くと、元気に農業を営んでいる高齢者から若者まで、多くの人びとに出会うことができる。
 むしろこの元気な生産者から学ぶことから始める必要があるのではないかと本紙は考えた。そして今回は、東京の住宅地で都市農業を営む大熊貴司さん(40歳)に取材した。

直売でビジネスとしての農業を実現

◆都市農業の9代目周囲は住宅ばかり


大熊貴司さん 東京の山手線・日暮里駅から新交通システムの日暮里・舎人ライナーに乗って終点の見沼代親水公園に着くまで約26分。すべて高架なので眼下にはたくさんの住宅が軒をよせあうように建つ都会の風景が広がる。その向こうに最近の東京観光の目玉・東京スカイツリーの姿がくっきりと見える。
 初めて訪ねる土地なので、本当に畑があるのだろうか、とちょっと心配になる。
 そんな住宅街のど真ん中に大熊貴司さんのハウスはあった。少し離れた場所には、父君がアサツキを生産しているハウスもある。文字通り「都市農業」そのものという感じだ。周辺の住宅地ももともとは畑だったが、相続の時期が来るたびに宅地化されてきたのだという。
 大熊家は代々足立区舎人のこの地で農業を営んできた。貴司さんはその9代目だ。
 貴司さんは結婚してから食べるようになったが小さいころから「野菜類は嫌い」で「農業や野菜に特別の思いはなかった」。大学を卒業後は父君の勧めもあって民間企業に就職。簿記や宅建、損害保険などの資格を取得、これは現在も農業経営に役立っているという。

◆農業への関心ではなく農地を守るために

 30歳を迎えるころに「そろそろかな」と感じ就農することにした。「それは江戸時代から続いてきている農地をなくすわけにはいかない」との思いがずっと心の中にあったからだ・・・。

(続きは シリーズ・日本農業の未来を拓くために―元気な生産者から学ぶ  【現地ルポ】直売でビジネスとしての農業を実現 で)

(2012.01.19)