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【シリーズ・原発事故を考える】第3回 低ければ安全なのか? 食品の残留放射能の新基準

 パルシステム連合会はこれまで食品中の放射性物質に対して独自のガイドラインによる規制値を設けてきたが、この2月から「第2段階」としてさらに低い数値の独自基準を決めた。
 政府も4月からこれまでの暫定規制値を新基準に改めるとしている。しかし、これまでの基準との整合性を問う声や復興に励む生産現場を苦しめるリスクにつながるといった議論もあがっている。先走った数値の引き下げは消費者に混乱や誤った意識を招きかねない。

 これまでの国の暫定規制値は、食品中からの放射性セシウムの被曝許容線量を「年間5ミリシーベルト」で割り出していたが、4月からはこれを「年間1ミリシーベルト」とする。
 一方、適用が始まったパルシステムの新基準は、放射線の影響をもっとも受けやすい乳幼児や妊婦に考慮し、ほとんどのカテゴリーで国の新基準より2分の1、米については10分の1も低い数値となっている。これまでも国の暫定規制値の5分の1を自主基準としてきたが、その差はさらに大きくなっている(表参照)。

パルシステムのガイドラインと政府の暫定規制値


◆新基準がもたらす懸念

 4月から適用される国の新たな基準についてどう考えるか―。2月7日、食の安全・安心財団による第6回目の意見交換会が都内で開かれた。
 講演した消費生活コンサルタントの森田満樹氏はその中で、新基準値への変更は消費者に安心感を生むことや、原発事故由来の放射線のリスクをできるだけ低減させるという原則からいえばいくらかのリスク低減につながる、などをよい点とする一方で、▽これまでの暫定規制値は危険だったのではないかという誤解、▽消費者のゼロリスク志向を助長し、生産者、流通、事業者はゼロベクレルを目指さざるを得なくなる、▽被災地の農業に壊滅的な打撃を与える、ことなどをマイナス面にあげた。

(続きは 【シリーズ】原発事故を考える 第3回 低ければ安全なのか?  で)

(2012.02.14)