農政・農協ニュース

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明日の農業と地域を創る!  JA青年組織・全国各地の奮闘ピックアップ

 いま全国には526組織、6万5419人の盟友がいる(ともに平成22年5月現在)。盟友の減少や高齢化が進み活動の縮小を余儀なくされている組織がある一方で、まさに「JA青年組織綱領」で謳われている「地域社会に貢献する」、「JA運動の先頭に立つ」、「あすの担い手を育成する」活動で顕著な実績をあげている組織も数多い。ここでは『地上』編集部(家の光協会)協力のもと、同誌「JA YOUTH活動探報」コーナーでの掲載や23年度JA青年組織活動実績発表ブロック大会を元に、全国各地でのJA青年組織の奮闘を紹介する。

【JA宮崎県農協青年組織協議会】

大事なのはインパクト
加入呼びかけるポスター

JA宮崎県農協青年組織協議会のPRポスター 「宮崎(ふるさと)を想い宮崎(ふるさと)に還元(かえ)す。」のキャッチコピーの下、夕日沈む浜辺で腕組みをした男たちが真剣な眼差しを視る者へ向けている。これは23年8月、JA宮崎県農協青年組織協議会が盟友の加入促進のためにつくったPRポスターだ(写真)。
 盟友の減少に歯止めをかけるには、まず青年組織の存在を知ってもらう必要がある。そのために大事なのは強烈なインパクト。とにかく、立ち止まって見てもらえるようなものを作りたいと考え、このデザインに決めた。バックに田園風景でなく海を選んだのは単にインパクトを狙っただけではない。将来的には漁協や商業会とも連携し、若い力で宮崎県全体を盛り上げていきたい、と考えたからだ。カメラマンも宮崎県出身者を起用した。
 製作に要した期間は4カ月。刷り上がった350部は県内のJA、役所に張り出しただけでなく他県の青年部にも送った。また、行政が進めるIターン・Uターン就農の促進にも役立てようと副知事室にも掲示してもらった。ポスターのデザインをそのままに、加入申込書を兼ねたリーフレットも作成し、今後も青年部活動をPRしながら、仲間づくりをめざす。

 

【JAくにびき青年連盟】(島根県)

解散危機から一転、
2年で盟友数を倍に


農協祭で出店した青年部 JAくにびき青年連盟が盟友数わずか32人、平均年齢52.8歳(ともに22年4月)、活動の停滞とマンネリ化、などによる解散危機から一転して元気に活動するようになったのは、同年7月からJAと一体で取り組んだ「JAユース青年仲間づくり運動」によるものだ。
 毎年3カ月の強化月間を設け、各支店と協力して45歳以下の担い手や就農希望者、JA若手職員など勧誘対象者をリストアップ。支店長と盟友がチームを組み、ほ場で、玄関先で、営農資金の優遇や給食・イベント用食材など農産物販路の拡大から、婚活支援や宴席への誘いなど、さまざまな加入メリットを熱心に伝え歩いた。その結果、23年12日末までに35人の盟友が新規加入。平均年齢も46.4歳とグッと若返った。新たな活動は若い盟友に任せようと、23年5月には役員も新規加入の盟友へと刷新した。農業や組織活動への思いを語るスピーチ大会を新たにスタートさせるなど、新しい盟友を加え、活発な運動を始めている。

(写真)農協祭で出店した青年部

 

【JAグリーン近江青年部】(滋賀県)


JA職員は青年部が育てる!


河南部長(左)と新入職員がキャベツ収穫 「われわれ農家がつくった農協なのに、会社や役所のようになっている」、「農業への熱意がない職員が多い」、「農協職員の本来の役目は農産物の有利販売や組合員の営農技術指導、生活指導ではないのか?」。JAグリーン近江青年部からJA職員に対する意見があがり、「われわれの手で職員研修をやろう!」と全会一致で決めたのは平成21年。それから毎年3月、JAグリーン近江の新入職員は、配属前の2日間、青年部員の家やほ場で農業研修を受けている。
 受け入れる青年部員は、肥育繁殖、コメ、園芸、施設園芸などさまざま。JAからは「できるだけ厳しい仕事をさせてほしい」との要望があり、牛舎の掃除や農産物の規格別の箱詰めなどを手伝わせている。新入職員には「農業は天気との競争だ」など農業の基礎を教える一方で、「常に自問自答しながら仕事をしてほしい」など、普段の業務にも通じる考え方を伝えるようにしている。中には青年部に加入し、集会などにも参加するようになった若手職員もおり、職員のレベルアップだけでなく青年部の仲間づくりにも一役買っている。

(写真)河南部長(左)と新入職員がキャベツ収穫

 

【JAにいがた南蒲青年部】(新潟県)

子どもたちに食と農への感謝の気持ちを


子どもたちにイネの生育を教える盟友 親も子も、そして農協職員でさえも「いただきます」、「ごちそうさま」を言わない人が増えた。食を大切にする気持ちがなければ、生産者への感謝の気持ちやわれわれの苦労は伝わらない、との危機感からJAにいがた南蒲青年部は、それまで支部単位で小規模に開催していた子ども向け農業体験イベントを、県全域から人を集める大規模なイベントに変えよう、と動き出した。
 「子ども活き活き農業体験」と銘打たれたこのイベントは、年3回、春の田植え、夏の実習、秋の収穫を通じて、子どもたちに農業の全体像を知ってもらうのが目的だ。青年部の熱意がJA新潟中央会も動かし、20年から3カ年計画での助成も受けた。さらに22年にはJA全農にいがた、農協観光も巻き込み盛大なイベントとなった。
 「子どもがご飯を一粒も残さずに食べるようになった」などの評価を受け、中央会、県連からの協賛がなくなった23年も引き続き開催したところ、今度は県から「特産品の県外へのアピールとIターンの誘引を促進したい」との依頼があり、JA管内の自動車教習所に短期合宿で来ている県外教習生も参加するなど、さらに活動は広がりを見せている。

(写真)子どもたちにイネの生育を教える盟友

 

【JA静岡青壮年連盟】

すべて盟友の手づくり
記念祭に1万1500人来場

賑々しくモチ播きで閉会した記念祭 JA静岡青壮年連盟は平成23年11月7日、創立60周年を迎えた。その記念に開催された「ファーマーズフェスティバル2011〜未来も日本を耕すために〜」は、実に1年半の準備期間をかけ、すべて青壮年連盟が手づくりしたイベントだった。
 県内19青壮年部による農畜産物の直売、ギネスに挑戦しようと県内だけでなく被災地や他県の青年組織からもモチ米を提供してもらい2万4000個の丸餅で作った「絆」のモザイク文字、野良着ファッションショー、青壮年部レストラン…などすべての企画立案から、交渉、設営、広報まで事務局には一切頼らず、すべて盟友の手で作り上げた。中には「そこまで俺たちでやるのか」と疑問の声も上がったが、「ゼロからすべてやれば達成感は違うはずだ」と訴え、「盟友の手づくり」を貫いた。
 結果、来場者数1万1500人という大盛会となり、盟友同士のみならずJAグループ、漁協、林業団体、地域住民らを結びつける一大フェスティバルとなった。盟友にとっては大きな自信となり、今後も毎年、県の東部、中部、西部で持ち回りで開催してはどうか、などイベントの継続を望む声も出ている。

(写真)賑々しくモチ播きで閉会した記念祭

(2012.02.17)