農政・農協ニュース

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活力ある職場づくりをめざして研究発表会 JA全中

 JA全中は「第1回活力ある職場づくり全国研究発表会」を2月24日、東京・大手町のJAビルで行った。
 職場活性化に向けて実践している4JAが取り組みを報告したほか、早稲田大学ビジネススクールの遠藤功教授が「JAの職場づくりに期待する」をテーマに職場づくりの重要性やポイントを述べた。

全国から県中央会やJAの役職員ら約70人が参加した JAでは第25回全国JA大会で「JAらしい活力ある職場づくり」を決議し、それに向けた取り組みを進めてきた。教育部の樋口直樹部長は「この取り組みは一朝一夕にできるものでなく、JAグループが一体となって地道に、かつ火種を広げていくような運動が必要」とあいさつし、取り組みが啓発される契機となることを期待した。

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全国から県中央会やJAの役職員ら約70人が参加した


◆「体質」づくりへの転換を

早稲田大学ビジネススクール・遠藤功教授 記念講演で早稲田大学ビジネススクールの遠藤功教授は、JA合併が進むなか組織の質を高めるには「体格」だけでなく「体質」づくりに舵を切ることが必要だとして、組織の体質は個々の職場の集合体でつくられることから職場づくりの重要性を強調。それぞれの職場が新しい知恵やアイデアを生み出して問題解決に向かうことが組織の質を高める大きなポイントであり、「業務遂行型」から「問題解決型」に変わることが今職場づくりに求められていると述べた。
 また、職場全体にこれらの取り組みを広める重要な鍵となるのが熱い思いをもった支店長クラスの“闘うミドル層”であることも強調した。


◆職員共通の意識づくりから

JAあまくさ総務企画部・松尾政信次長 JAあまくさ(熊本)総務企画部の松尾政信次長は職場づくりの第一歩としてスタートした「御用聞き活動」について報告した。組合員・利用者の意見や要望を把握し、JAをなくてはならない存在として実感してもらうことがねらいだ。
 活動をはじめるにあたり役職員研修を行って活動の旗振り役となる事務局会議を設置、現在は各部署ごとに独自のテーマと目標を掲げてそれぞれの地区にあった対応をめざしている。
 取り組みの経過は「御用聞き通信」で紹介し、全職員の目に付きやすいようトイレに掲示している。


◆組合員満足の指標は職員満足

JAながの人事課・吉澤広一課長 JAながの(長野)人事課の吉澤広一課長は、職員の満足度向上についての取り組みを発表。
 同JAでは職員のやる気や満足は組合員満足の高低の指標であるとして、平成22年に「職員意識調査」を全役職員に実施した。その後プロジェクトを立ち上げて職員の不満足の原因を分析、目指すべき職場像から実行施策を打ち出した。
 まずはその施策のなかから成功体験を積むことが重要だとして▽朝礼・夕礼の実施▽事務所内の清掃▽机の上にものを置かないなど、難易度が低く、各職場で取り組むことが求められる7項目を最優先施策として今年から全職場で実行している。


◆キーマンは「燃えるミドル層」

JAあいち知多人事部CS推進課・松田定三課長 JAあいち知多(愛知)人事部CS推進課の松田定三課長は平成19年度から全職員で取り組んでいるCSとES向上への取り組みを発表した。
 苦情をきっかけに職員の知恵から生まれたCS、ESの実現として、CS向上活動では金融共済店舗での待ち時間を楽しんでもらえるよう職員が自宅から本を持ち寄って「図書館」をつくったこと、ES向上活動ではのぞみ支店での支店長と女性職員とによる業務日報交換ノートの運用で「報・連・相」の円滑化をめざした取り組みなどを紹介。
 職員自らが働きやすい職場づくりに取り組んでいる例では、職員同士が認め合い、ほめ合えるためのツールである「感謝のカード」や、自主的に問題解決する場となっている自主参加型勉強会の実施などを挙げた。
 また「人づくり」こそ活力ある職場づくりの一番のポイントであるとして、制度や仕組みづくりだけでなく「燃えるミドル層」の存在が活動の重要なキーマンになると述べた。


◆職員のやりがいが職場の活力

JA福岡市総合企画室・宗欣孝室長 JA福岡市(福岡)総合企画室の宗欣孝室長は、組合員との結びつきが活力ある職場づくりにつながるとして、JAらしい支店づくりの取り組みを発表した。
 地域に存在感あるJAとなるため、支店行動計画の策定・実践、支店だよりの発行など、各支店単位での取り組みに力を入れている。
 また他の金融機関との差別化をはかるため「農を感じる支店」をめざし、組合員・利用者に求められる職員の育成に努めている。平成22年度からは職員1人ひとりが「私の三ヵ年計画書」を策定し、それに基づいた「職員ワンランクアップ運動」を実践。自分の仕事が組織の中でどのような役割を持っているのかを知り、仕事にやりがいや生きがいを感じることができればおのずと職場の活力にもつながるとして、その仕組みづくりこそ管理職の役目だと強調した。

(2012.02.27)