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葉の水分保持の仕組みを解明 高い乾燥耐性への品種改良に期待

 植物の「葉の表面を覆うクチクラ層の構造を維持するために必要な遺伝子を同定した」と(独)農業生物資源研究所が2月22日発表した。

 陸上植物は体の表面にクチカラ層(一般名はキューティクル)という構造を持ち、乾燥から身を守っている。その構造が崩れていることから、葉の水分を保持できないオオムギの突然変異体を解析し、その原因がABCG31遺伝子の機能喪失によるものであることを発見した。
 同じようにイネでもABCG31遺伝子が機能を失うと葉の水分を保持できなくなり、乾燥耐性が著しく低下することがわかった。またシダやコケにも共通の遺伝子があると明らかにし、この遺伝子を持つことが陸上植物として生育できる条件となる可能性をも示した。
 今回の成果は、クチカラ層を厚くしたり、組成を改変することへの道を拓くもので、乾燥耐性の高い品種育成への貢献が期待される。 解明は中国科学院、イスラエルのハイファ大学との共同で進められた。成果は7月26日に米国科学アカデミー紀要で公表された。


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