農政・農協ニュース

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男女ともに協力し未来を築こう  農山漁村女性の日 記念の集い

 全国農業会議所やJA全国女性組織協議会ら8団体は「第25回農山漁村女性の日 記念の集い」を3月8日、都内で開いた。
 今年のキャッチフレーズは「男女(とも)に興そう未来のふるさと」。集会では男女共同参画や高齢者活動の推進に積極的に取り組む女性・高齢者に贈る「農山漁村女性・シニア活動表彰」と、若手女性や女性の参画を積極的に推進している組織などに贈る「農山漁村男女共同参画優良活動表彰」の表彰式のほか、各賞の農林水産大臣賞受賞者による活動報告などを行った。

全国から約600人が参加した この行事は3月10日の「農山漁村女性の日」を記念して毎年開いているもので、農山漁村女性の地位向上と農林水産業・農山漁村の発展を目的としている。
 主催者を代表してあいさつした全国酪農青年女性会議の結城五子副委員長は、TPP問題があるなかで生産者が国産農産物の安心安全や食料供給だけではない農林水産業の果たす多面的な役割を消費者に伝えていかなければならないと述べ、「このような厳しい状況にあるからこそ、今回のテーマにあるように男性も女性も皆で協力し合い、明るい未来に向けてがんばっていきましょう」と呼びかけた。
 来賓の仲野博子農林水産大臣政務官は「今後の農林水産業、農山漁村の発展を考える上で女性の力はさらに求められる。多くの女性が主体的に活動し、その能力を最大限に発揮できるよう24年度予算で女性支援策を充実・強化しているところ」だとして「今後活動がステップアップし、女性を核とした農山漁村の活性化が進むことを期待する」と述べた。
 集会では▽東日本大震災からの復興支援、▽学習機会の積極的な活用、▽農山漁村文化の振興・食育の推進、▽農山漁村と都市部との交流の活性化、▽TPP交渉に対する注視―の5点を宣言した。

(写真)
全国から約600人が参加した


参画目標「3本柱」を達成
JAさつま日置

JAさつま日置女性部会・成田ヨウ子会長 今年度、農山漁村男女共同参画優良活動表彰の「組織における女性登用部門」で農林水産副大臣賞を受賞した鹿児島県のJAさつま日置と同JA女性部会。同JAは今年1月、JAが女性参画の目標として掲げている▽女性総代10%以上▽女性理事等2名以上▽女性正組合員数25%以上―これらすべてを成し遂げた。
 今回の受賞はJAと女性部会が一体となった女性参画推進への取り組みが評価された。

◆1年で目標達成

 JAグループでは平成21年の第25回JA全国大会で、女性のJA運営参画への行動計画として上記の数値目標を定めた。これを受け、同JAでも女性参画に取り組んでいくことを理事会で決定。目標数値をJAの現状に落とし込み、[1]正組合員500人増[2]総代に55人の女性を登用[3]現在1名の女性理事を2名に―の3本柱を明確な目標として設定した。
 具体的な数値目標を決めることによって、昨年5月の役員改選では女性理事が2名となり、また6月の総代改選ではこれまで550人中6人だった女性総代が65人に増えて割合は11.8%に。そしてこの1月、1万1586人いる正組合員のうち、女性は全体の25.1%を占める2910人となって3つの目標すべてを達成した。
 なかでも女性正組合員数の目標達成は、JAと女性部会との連携が要となった。本格的な取り組みをはじめたのは目標達成1年前の昨年1月。「女性正組合員拡大運動」として女性部会の各9支部を拠点に展開した。まず、それぞれの支部で目標人数を設定し、各支部長が中心となって女性部会のメンバーに加入の呼びかけを働きかけるとともに、JA職員とペアになって訪問活動に励むなど、組合員加入に取り組んだ。女性部会員や正組合員の奥さんを中心に声を掛けると入ってくれる人も多く、これまでの活動を通して女性部会やJAに対する信頼があったことも加入につながったと女性部会は感じている。
 また、支部中心の取り組みとしたことで「こんなに正組合員になってもらったよ」という声に「私たちも負けていられない!」と他の支部によい刺激を与え、運動を盛り上げた。


◆JA役職員の意識が鍵

 目標を実現できた一番の理由は「JAと女性部会の気持ちがひとつになり、みんなが同じ方向に向かった」からだと女性部会の成田ヨウ子会長は話す。
 これまでも女性部会では女性の正組合員数を増やそうと目標を決めて取り組んでいたが、女性部会や女性部会の事務局だけが声を上げてもなかなか進まなかった。「JA全体を動かす影響力を持つのはJAの役職員。JAの意識の変化は女性参画を促すポイントだと思います」としている。
 同JA企画開発課の宮薗道春課長は「食育や直売など、生活事業活動がさかんになるなかで、今後女性の役割はさらに大きくなることから女性の声をJAに集める必要があるとの思いでスタートしました」と今回の取り組みについて話し、今後は「女性の目線や感性をいかにJA活動に転嫁させていけるかが重要。直売所や農家レストランといった事業を計画していきたい」という。
 成田会長は「数値目標は達成したが、これまでは目標を達成することが活動だったので、これからは今回加入した方が積極的に組合員の会合などに参加してもらえるようにしていきたい」と、65人の女性総代誕生後、初となる今年5月の総代会が楽しみだと語った。

(写真)
JAさつま日置女性部会・成田ヨウ子会長

(2012.03.12)