農政・農協ニュース

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売れ残り野菜、パウダー化で寿命長く 直売所で新事業  JAおちいまばり

 JAおちいまばり(愛媛県)の直売所「さいさいきて屋」はこのたび野菜をパウダー化する機械を導入し新たな事業に乗り出した。生産者の出荷残品を減らし、農業所得アップにつなげることがねらいだ。

パウダーにする前工程。ニンジンを乾燥機にかける 直売所として国内最大の売り場面積を誇るさいさいきて屋の1日の出荷者平均は多い日で350人、祝日ともなれば450人だ。その一方、旬の時期が重なる農産物はどうしても売れ残りが出てしまうことが課題にある。また雨の日など客足の少ない日にも売れ残りが出てしまう。
 そこでこの農家にとっての一番の欠点をなくそうと「残った野菜をパウダーにして命を長くしよう」との発想から野菜や果物をパウダー化する粉砕機とその前段階に必要な乾燥機を県の「6次産業化産地ステップアップ事業」の助成を受けて導入した。
 残った農産物は販売価格で農家から買い取り、乾燥機に1日半から2日かけたものを粉砕機でパウダー化する。パウダーにしたものはパンやケーキ、焼き菓子などの生地に練り込んで商品化し、併設している「SAISAICAFE」で販売していく。
 パウダー化するには農作物によって適度な温度帯が異なることから、現在カボチャやトマト、ブロッコリーなどさまざまな野菜で試験を重ねているところだ。まずは1品でも商品化しようとノウハウを完成させたのがニンジンとホウレンソウ。4月10日にこれらのパウダーをつかったパンと焼き菓子が出来上がり、4月中には店頭で販売する予定にしている。
 今後は他の野菜での商品化も広げ、1日の残品をゼロにしようというのが同事業の一番の目標だ。
 同JA直販開発室の西坂文秀室長は「ポリシーにしている『日本一残品の少ない直売所』をめざしていきたい」と話し、石丸淳也店長も「その日の売れ残りをいかに少なくするかというのが店の目的。これで農家の出荷が一つでも増えて農業振興につながれば」と期待する。

ニンジンとホウレンソウのパウダーで作ったパンと焼き菓子(左)、さまざまな野菜がパウダーに


(写真)
上:パウダーにする前工程。ニンジンを乾燥機にかける
下:ニンジンとホウレンソウのパウダーで作ったパンと焼き菓子(左)、さまざまな野菜がパウダーに

(2012.04.16)