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集落営農数は1万4736 93組織増える

 農林水産省は24年2月1日現在の集落営農数などを4月5日に公表している。前年にくらべ0.6%増、93組織増えて1万4736組織となった。このうち法人数は2581で前年にくらべ249(10.7%)増加。法人が全体に占める割合は17.5%となっている。

◆20ha以上が半数以上

 参加農家数は全国で約54万戸となっている。 全国農業地域別に集落営農数をみると、東北が3389でもっとも多く、九州(2587)、北陸(2298)と続く。法人化した集落営農がもっとも多いのは北陸で723、次いで中国(544)、東北(373)となっている。
 1農業集落で構成している組織が4分の3(74.9%)を占める。参加農家数は10〜19戸が25.5%ともっとも多く、20〜29戸(20.5%)、50戸以上(18.8%)となっている。平均は36.9戸。
 農地の集積面積(経営耕地面積+農作業受託面積)でみると、20ha以上が52.5%と半数以上を占める。平均は33.9ha。集落営農による農地集積面積は全体で49万9000haとなっている。


◆戸別所得補償制度、67%が加入

 集落営農組織はこの1年間で「解散・廃止(統合・分割を含む)」が395あったが、「新規(同)」設立が577あり全体としては増えた。
 設立時期をみると、集落営農を政策支援対象とする経営所得安定対策が議論されていた平成16年以降が8912組織で全体の6割を占める。
 認定農業者が参加している組織は63.7%ある。集落内の全農家が参加している組織は26.8%で、半数以上の参加組織で見ると7割以上を占める。農業者戸別所得補償制度には9811組織、66.6%が加入しているという結果だ。


◆求められる動態調査

 集落営農としての具体的な取り組み内容でもっとも多いのが「機械の共同所有・利用を行う」で77.6%となっている。次いで「農産物などの生産・販売」72.6%、「作付地の団地化など集落内の土地利用調整」59.9%となっている。
 今回の調査結果の公表に合わせて農水省は関連データとして「主業農家及び集落営農の有無別農業集落数割合」を2010年センサスなどの組み替え集計で示した。
 それによると、主業農家か集落営農がある集落は全国ベースで65.2%となっているものの、「主業農家なし集落営農なし」の集落も34.8%ある。
 こうした集落でこそ、集落営農の組織化が期待されるが、地域別にみると中国地方では53.7%と過半の集落で主業農家も集落営農も不在という結果になっている()。中国地方は集落営農への取り組みが盛ん、との評価も聞いてきただけにこれをどう見ればよいのか。
 このデータは2010年センサスから集計したもの。たとえば、それまで主業農家が営農を続けていたが何らかの事情で離農、まだ集落営農も組織化されていないという時に集計されたり、長く続いた集落営農が解散した時点で集計されたりなど、その時点でさまざまな問題を集落が抱えていたことも考えられるのではないか。
 一方で各地から課題を乗り越え将来の担い手としての集落営農の組織化に取り組んだ事例や、さらに経営安定化、組織運営の高度化への努力などの事例は数多く聞かれる。
 こうした農業集落内の動態を集計・分析し、それに基づく政策を検討することも求められているのではないか。

主業農家及び集落営農の有無別農業集落数割合

農地の集積面積規模別にみた集落営農数割合


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