農政・農協ニュース

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女性起業数9750件に  個人経営が増加  農水省調査

 農水省は平成22年度農村女性による起業活動実態調査結果(23年3月31日現在)を4月18日公表した。
 平成9年の調査開始から右肩上がりに増えている女性起業数は22年度も引き続き伸びて調査開始から倍以上に増えたことになる。

 この調査は農村女性が中心となった農林漁業の経済活動の実態を把握するのが目的。
 平成22年度の女性起業数は9757件で前回調査(20年度)から116件増えた。
 このうち、グループ経営の割合は54.2%で半数を占めているが、前回の5565件から5284件に減った。一方で、個人経営は前回から397件増えて4473件に。全体の割合は45.8%となった。
 起業活動の開始時期は全体の過半以上が12年以降であることから、ここ10年のうちで女性起業がより活発になっていることがうかがえる。

女性起業数の動向


◆若年メンバーはわずか

 構成員の平均年齢はグループ、個人経営ともに60〜69歳がもっとも多く、全体で見ても60歳以上が約64%を占めている。
 一方、グループ経営のなかで39歳以下のメンバーがいない経営体は76%にのぼり、若年層の少なさが顕著に表れている。しかし個人経営では39歳以下が前回の2.3%から2.7%とわずかながら増えている。
 年間売上金額はほぼ半数が300万円未満であり零細経営が目立つが、その割合は前回より2.6%(192件)減少。1000万円以上の割合は0.3%(42件)増えた。


◆「都市との交流」さかんに

農村女性による起業活動 活動内容は「食品加工」がもっとも多く全体の75.2%にのぼる。また「流通・販売」のうち「直売所」販売が89.2%で前回からもっとも伸びている(16.5%)。
 「都市との交流」も17.6%から20.5%に増加。個人経営では「農家民宿」が362件でもっとも多く、ついで「体験農園・農場」(287件)。グループ経営でもっとも多いのが「農産加工体験」の403件、次いで「農家レストラン」(351件)となっており、加工・販売といったモノにとどまらないヒトの交流にも活動が広がりつつある。
 今後事業を拡大したい分野としてもっとも多かったのが「加工品開発」で32.5%、次に「直売所などでの販路拡大」(23.4%)だった。


◆提携先は「JA」が最多

 地域の他組織と連携した活動を行っているかを聞いたところ、「行っている」とした経営体は3269件で全体の42.9%となった。そのうち「今後連携を予定している」という経営体も含めて連携先を聞いたところ、もっとも多かったのが「JA組織」で32.1%、次いで「他の女性起業経営体」(26.6%)、「商工会」(26.0%)となった。

地域の他組織と連携先


※東日本大震災の影響で宮城県は22年3月31日現在のデータを引用。福島県は相馬市、南相馬市、相馬郡、双葉郡内8町村を除く。

(2012.04.20)