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棚上げ備蓄米の買い入れ方式見直しへ  農水省

 農林水産省は7月31日に開催した食料・農業・農村政策審議会食糧部会で、棚上げ方式に移行した備蓄米の買い入れ方法について見直しを行い、11月に開催する食糧部会に提示する方針であることを明らかにした。

 政府米の棚上げ備蓄の運営は、
 (1)6月末の適正在庫水準は100万t程度。
 (2)国内産米を5年間程度備蓄。
 (3)備蓄米の買い入れは出来秋の市場価格に影響を与えないよう播種前入札を実施。
 (4)5年間の備蓄後は飼料用など非主食用として販売、
などを基本方針にしている。
 買い入れ数量は毎年20万tとし、同量の5年古米を飼料用などに販売することにしていた。
 しかし、23年産米の政府米買い入れの落札数量は7万t、24年産米は8万3390tにとどまった。
 営農計画が立たないとの声に応え、24年産米では入札時期を早めて昨年は2月だったものを1月19日に実施。また、道県別の落札実績を反映させた道県別枠を設定、早期に落札したものを早期に引き取るなどの見直しも行った。しかし、24年産米の落札数量は予定数量の42%に過ぎなかった。


◆出来秋の買い入れを

 こうした状況について食糧部会臨時委員のJA全中の冨士重夫専務は、適正備蓄量を100万tとしていても、年に7〜8万t程度の買い入れでは「実際には6年古米、7年古米など主食用として耐えられない米を備蓄していることになる。100万t備蓄していても食べられるのは70万t、ということになりかねない」と指摘。
 ▽政府米の買い入れは播種前に加えて出来秋も行う、▽主食用米のほかに米粉用米、加工用米などともプールして備蓄する仕組みとする、▽加工用米の出荷契約にある作柄補正を主食用米でも検討する、など具体的な見直し事項を挙げた。
食糧部会で説明する今城健晴・農水省農産部長 こうした意見に対して農水省の今城健晴農産部長は「2年続けて買えなかったのは事実。思い切った見直しをしないと棚上げ備蓄が維持できない。すぐに見直しに着手したい」と話した。そのうえで25年産米の生産数量目標と関係することから、来年度の基本指針を決める11月の食糧部会に改善案を提示する方針を示した。
 また、農水省はこの日、24年産備蓄米の落札価格を公表した。それによると加重平均価格は60kgあたり1万3406円(包装代、消費税込み)だった。農水省によるとこの価格を相対取引価格と比較するには、流通経費(運賃、広告宣伝費、系統手数料など)として600円〜1500円を上乗せする必要があるとしている。

(写真)
食糧部会で説明する今城健晴・農水省農産部長


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