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全国の畜産関係農場をデータ化―家畜防疫マップシステムを稼働  農水省

 農水省消費・安全局動物衛生課は、各都道府県で把握している畜産関係農場や畜産関連施設などの情報を全国統一の「家畜防疫マップシステム」としてデータ化し10月から稼働を開始。今後、口蹄疫や高病原性鳥インフルエンザなど家畜伝染病対策として活用していく。

 このシステムは、平成22年に宮崎県で発生した口蹄疫の検証委員会がその報告書で「農場の所在地や畜種、頭数などについて行政が十分に把握していなかったことが、初動の遅れにつながったと指摘したことを受けて、農水省が民間企業と共同で開発したもの。
 各都道府県が把握している畜産関係の農場と関連施設などの情報を地図上に表示するもので、それぞれの農場について、所在地・農場名・管理者・飼養家畜・飼養頭羽数のデータが入力されており閲覧できるようになっている。
 口蹄疫などの家畜伝染病の疑いや発生があった場合、当該都道府県の担当者が、発生農場の場所や日付を入力すると、移動・搬出制限範囲をモニターの地図上に表示するので、制限範囲内の農場や関連施設を特定することができ、農場数や飼養頭羽数を集計することができる。
 また地図情報として表示されるので、幹線道路などに消毒ポイントを設置するときの判断ツールとして活用することもできる。さらに航空写真で表示することができるため、家畜などの搬出ルートの設定や殺処分された家畜の埋却地の確保に役立てることもできる。
 都道府県によっては独自にシステムを整備しているところもあるが、全国統一システムなので、複数県におよぶ広域被害にも対応できると農水省では考えている。
 なお、農家の個人情報にも関わるため、データの編集や閲覧は、同省や各自治体でこのシステムにアクセスできるパスワードを持つ担当者に限定されている。
 農水省動物衛生課では「家畜伝染病の疑いや発生では、初動の作業時間をどれだけ短縮できるかが重要であり、迅速に対応できる体制をつくることが農家の安心感につながる」。そのため、このシステムの有効な活用が必要だと指摘。このシステムを活用した防疫演習を各自治体で実施するよう呼びかけるという。

家畜防疫マップシステム

(2012.10.12)