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姉妹JA提携で、人材育成・事業発展を

 地域特性の異なるJA同士で人・モノ・情報などさまざまな交流を図ろうと姉妹JAを提携する例が増えているが、その1つであるJAえひめ南(愛媛)とJAいわて中央(岩手)、JA栗っこ(宮城)の3JAの役職員らが10月11日、東京の家の光協会に集まり、これまでの成果や今後の交流の進め方を話し合った。

◆条件の違うJAとの交流が大事

3JAによる交流を誓い合った。(左から)黒田JAえひめ南組合長、藤尾JAいわて中央組合長、林JA愛媛県中央会会長、菅原JA宮城県中央会会長、加藤JA栗っこ組合長 JAえひめ南(当時林正照組合長)は、「職員の意識改革のため立地条件の違うJAと交流したい」という理事会での決定を受け、「家の光文化賞JAトップフォーラム」で交流のあったJAいわて中央と平成19年に、また、家の光文化賞を同じ年に受賞したJA栗っこと21年に、それぞれ姉妹JA提携を結んだ。
 その後、青年部と女性部の相互の現地研修、定期預金口座を新たに開設した組合員へのプレゼントとして、またAコープ・直売所での特産品販売として、それぞれのJAの特産物を提供するなどの交流事業を実施。特に愛媛県のカンキツ類と東北地方のリンゴは、ともに地元で採れない農産物ということもあり、組合員に大いに喜ばれ、姉妹JAの存在を広く周知する結果となった。
 また、昨年の東日本大震災での支援活動でも、JAえひめ南から被災地となった2JAに人的・物的支援が行われた。


◆トップが変わっても運動の継続を

 実は、3JAの代表が揃ってこうした形で会合を持つのは今回が初めて。
 会合を呼びかけたJAえひめ南の黒田義人代表理事組合長によれば、「私どもはいわゆる第二世代。第一世代がせっかく築いてくれた姉妹JAという基盤を未来へ継続しなければいけない」との問題意識があったという。
 というのも、3JAとも姉妹JAを締結した当時の組合長は県中央会の会長になるなどして退任し、現在、役員はほぼ一新されている。特にJA栗っこは、菅原章夫JA宮城中央会会長(当時組合長)から数えて3人目の組合長となる加藤榮幸氏が今春選任されたばかりだ。
 各JAともに事業環境が変化し、担当者も異動するなかで、姉妹JA提携当初の理念を維持しながら定期的に交流を続けることは難しいかもしれない。実際、ここ2年間は震災からの復興支援以外での交流活動は、ほとんど行われていない。
 しかし、林正照JA愛媛県中央会会長が「第26回JA全国大会で決議された現場主義の方向性は以前からずっと提言してきたこと。JA同士の交流はまさに現場と現場をつなぐものであり、地域をよくするため、良いものはどんどん学び実践すべきだ」と述べた通り、現場や産地を直接結ぶ姉妹JAという協同組合間協同のカタチは、今後のJAの発展にとっても大きな可能性を秘めているといえる。


◆情報交換を密にし、互いのJAを知ろう

 この日の話し合いでは、こうした姉妹JAの理念を確認した上で、さらに今後の具体的な交流のあり方として、藤尾東泉JAいわて中央代表理事組合長から「職員教育の一環として、ある程度期間を設けた定期的な人的交流を進めたい」との意見が出た。
 JAの厳しい運営環境が続き、職員教育に満足なコストと時間を割けない中、まったく条件の違うJAの活動を最良の教科書にして学ばせたいということだ。
 これについて、さらにJAいわて中央から「ビジネスモデルの提案力、企画力のある人の交流が大きな刺激になる」、JA栗っこから「米主産地だが、これからの産地づくりも考えて、園芸の営農指導などの職員に来てもらいたい」などの具体的な提案があった。
 こうした職員交流研修を始めるには時間が必要だが、広報誌での記事交換を通じて互いの地域の現状やJAの活動を伝えることを始めてみてはどうか、との意見もあった。
 姉妹JA締結以来初めて行われたこの会合。今後も毎年定期的に開き、交流を密にし、より強固な姉妹JA交流を継続していくことで合意した。


(写真)
3JAによる交流を誓い合った。(左から)黒田JAえひめ南組合長、藤尾JAいわて中央組合長、林JA愛媛県中央会会長、菅原JA宮城県中央会会長、加藤JA栗っこ組合長


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