シリーズ

JAは地域の生命線

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新シリーズ「JAは地域の生命線」を始めるにあたって

 経済のグローバル化により農業のみならず地域の産業は疲弊し、人びとの生活や伝統文化が大きな打撃を受けています。われわれ農業協同組合新聞は"新たな協同の創造で地域の再生を"をテーマに紙面づくりを追求してきました。地域活性化と復興のカギを握るのはなんといってもJAである、との想いから2010年は新企画として『JAは地域の生命線』を届けていきます。

今村奈良臣 かねてより私は、「農業は生命総合産業であり、農村はその創造の場である」と説いてきた。生命総合産業とは何か。まず、なによりも、国民に米をはじめとする多彩な農畜産物を、安心・安全・安定をモットーにわが国の土地と水を活かし供給することである。しかし、それだけではない。農業の6次産業化(1×2×3=6次産業)を推進し、多彩な農畜産物加工品も届ける必要がある。
 さらに、水と緑で国民に豊かな保健空間、保養空間を供給し、次世代を担う青少年に農と食の生命力の尊さを培うことも、農業と農村の持つ大きな役割りである。また、農村の伝統文化や先人の智恵の結晶を次世代に伝承し豊かな心の拠り所を作るのも農村のもつすぐれた役割である。
 こうした農業・農村のもつ現代社会におけるすぐれた多くの役割りを受け止め発展させる基盤にJAの役割りがあるはずである。
 そのためには、JAは絶えざるイノベーション(自己革新)を推進しなければならない。特に基本となるのが、人材育成、技術革新、情報革新、販売革新の分野である。その推進の中核となるのが、営農指導、営農企画、営農経済などと呼ばれている部署である。この分野でのすぐれた活動が、キラリと光る個性に充ちたJAとなるのである。
 そういう個性に充ちたキラリと光るJAを取り上げ、そのリーダーにJAの活動の光を当ててもらうシリーズを企画した。

(今村奈良臣)

【著者】今村奈良臣
           東京大学名誉教授

(2010.01.14)