シリーズ

信用・共済分離論を排す

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今回は単なるJA批判ではない

―総合JA批判の背景とは? その11―
・JAを支える条件
・JA批判の意味

 現在のJA(正確には総合JA)は、二つの条件によって支えられています。一つはJAが行う事業として、農協法第10条1項で営農・経済事業のほか、信用事業や共済事業、高齢者福祉事業や宅地等供給事業など様々な事業が行えるようになっていること。もう一つは、JAの構成員が農業者・農家だけではなく広く地域住民に門戸を開いた准組合員の制度を持っていることです。

◆JAを支える条件

 現在のJA(正確には総合JA)は、二つの条件によって支えられています。一つはJAが行う事業として、農協法第10条1項で営農・経済事業のほか、信用事業や共済事業、高齢者福祉事業や宅地等供給事業など様々な事業が行えるようになっていること。もう一つは、JAの構成員が農業者・農家だけではなく広く地域住民に門戸を開いた准組合員の制度を持っていることです。
 現在の農協法は、第1条で農業振興を謳い、その一方第10条1項で各種事業の兼営(総合事業)を認めています。協同組合原則の「定義」では、協同組合は「人びとが共同で所有し、民主的に管理する事業体」を通じて、「組合員の経済的・社会的・文化的な願いを実現することを目的にしています」とあります。農協法では、協同組合原則でいう事業体としてJAを認めていることになります。
 経営学では、事業領域のことをドメイン(組織の縄張り)と言いますが、JAは事業領域として農業振興と総合事業の二つを持つことによって、強固なコアコンピタンス(他の企業がまねのできない中核能力)を形成しています。JAはこの二つの事業領域を持つことで、組合員の共通の願いを実現して行きます。
 JAはこのような事業領域としての総合事業の実施と、准組合員の制度によって支えられており、このいずれが欠けても、JAは存在して行くことが出来ません。


◆JA批判の意味

 JA批判は、経済界が困った時に常に登場してきます。事態を悪くしているのはJAであり協同組合であるという理屈です。かつての「住専問題は農協問題」といった批判もそうでした。住専問題はマネーの過剰流動性によるバブル崩壊後の金融問題でしたが、この時もJA出資の住宅専門会社に対して救済のために6850億円の公的資金が導入されたため、JAが一方的に批判されました。その後、国内のメガバンクに対しこれをはるかに超える公的資金が導入されたのは周知のことです。
 今回のJA批判は、単なるJA批判ではなく総合JA批判にその特徴があります。学識者によるJA批判への反論は、そのほとんどがJAという協同組合の役割を主張するものです。つまり、総合JA批判への反論になっていません。
 今回のJA批判は、
(1)信用・共済事業の分離、(2)准組合員の廃止、(3)一人一票制の見直し、(4)独占禁止法の適用除外の見直し、(5)金融庁検査・公認会計士の実施などからなります。
 このうち、(1)と(2)が総合JA批判であり、(3)、(4)、(5)が協同組合批判です。とくに、(1)信用・共済事業の分離という総合JA批判は、国の農業問題とからめていることにその意図の悪質さがあります。
 国際競争力のある農業が育たないのは、JAが信用・共済事業を兼営しているからでJAが農業専門農協になればこの問題が解決するという訳です。農業の実態をちょっと知っている人は、農業をめぐる状況が厳しく、専門農協の存立が難しいことを知っています。地域の農業は、信用・共済事業収益からの営農指導事業費の補てんによって、かろうじて維持されているのが実態です。
 協同組合という組織は世界標準であり、そう簡単に崩れません。今回のJA批判は、総合JA批判であることにもっと敏感になるべきです。

【著者】福間莞爾
           総合JA研究会主宰

(2011.08.08)